「真実」が開く是枝裕和監督の"第3章"

文化往来
2019/10/3 2:00
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是枝裕和監督がフランスに乗りこんで撮った「真実」が10月11日、日本公開される。カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、是枝の新しいキャリアを開く作品だ。8月末のベネチア国際映画祭での初上映で喝采を浴び、「(年末公開の)フランスの反応を見ないと安心できないが、第1段階はクリアできた」と是枝は語る。

ベネチア、トロントの両映画祭から帰国し、新作「真実」を語る是枝裕和監督

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大女優である母(ドヌーヴ)と脚本家の娘(ジュリエット・ビノシュ)の関係のきしみと再生を描く。物語の中心に不在の死者がいること、子供たちがドラマを動かすこと、など是枝作品の特徴は健在だ。是枝自身は「ドヌーヴを魅力的に撮ることに専念した」と言う。出演者にインタビューを重ね、脚本に生かす方法が生きた。

「幻の光」(1995年)や「誰も知らない」(2004年)などミニシアター作品で国際的評価を得た時期を"第1章"、フジテレビやギャガと組み国内でも大規模に興行した「そして父になる」(13年)からを"第2章"とすると、是枝の"第3章"の幕開けとなる作品だ。

「チャンスがあれば、また外国で撮りたい。自分のキャリアを考えると、折り返し点を過ぎており、どこまで遠くに行けるか。撮りたい役者もいるし、企画もある」「日本ではなかなか実現しない叙事詩のような、歴史と向きあう作品を撮ってみたい。家族はヨコで、歴史はタテだ。タテのつながりが日本では弱いと思う」

世界では撮りたい作品を撮るために、予算が潤沢で野心作に寛容な配信系と組む監督が増えた。「何を映画と考えるか、というカンヌやベネチアが直面する問題を実感する」と是枝。「僕も劇場公開作品で踏ん張りたい気持ちはあるがどうなるか。国内も公開規模が画一化し、若手が世に出にくいなど製作配給の問題は大きい。業界全体が問題を認識すべきだ」と語った。(古賀重樹)

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