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丸山対阿部、大野の自信…熱気に満ちた柔道代表争い

Tokyo2020
2019/9/26 18:00
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8月末~9月に行われた柔道の世界選手権に行った。競技ごとに独特の空気があるけれど、柔道は「モワッとした熱気」。会場が日本武道館だっただけに、その匂いがいい感じに籠もっていた。

個人的に柔道と縁が深い。水泳と柔道は五輪の開会式翌日から競技がある。この2種目がメダルをとっていかに盛り上げるか。日本人が大会に持つ印象、日本選手団全体の勢いにもかかわる。そんな共通項もあって、井上康生男子日本代表監督はかわいがってくれたし、翌日に試合を控える者同士、五輪3連覇の野村忠宏さんとは選手村で夜遅くまでテレビで開会式を見ていた。寝なくていいのか? ここまで来たら関係ない。もう腹は決まっているから。

柔道の世界選手権男子66キロ級準決勝で阿部(左)を破った丸山

柔道の世界選手権男子66キロ級準決勝で阿部(左)を破った丸山

今回、生観戦したのは階級の2トップが日本人の男子66キロ級だ。阿部一二三と丸山城志郎。準決勝で阿部を倒した丸山が優勝した(阿部は3位)。丸山の試合を見るのは初めてだったけれど、阿部に対しての闘争心が相当伝わってきたし、自信がある勝ち方だった。途中で足を引きずっていたのに、ガッツのある選手だと思った。

一方、面識のある阿部は初戦から苦戦していたし、どこか攻めきれない。丸山に対して苦手意識があるのが素人目にも分かった。阿部のいい時は一歩も二歩も先に入ってきてグイグイ攻める感じなのに、「最後の一歩が出ていかない」。一緒に観戦していたバルセロナ五輪金メダルの吉田秀彦さんがうなっていた。

研究されてやりづらいのかもしれない。本当に強い選手はどんなに対策を講じられても、独特の間で技をかける。相手にすれば「何がなんだか分からないうちにやられた」という感じ。全盛期の康生さんや野村さんがそう。阿部は少し逃げ腰だった。

その点、丸山は相手が何をしてきても、全てを受け止めていた。かけられた技から逃げ、自分の形に持っていく。初めて「逃げ」の重要性を心底理解できた。誰が相手でも安心して見ていられた。

「やっぱり強い」と思ったのは男子73キロ級の大野将平。大野は絶対的な自信を自分の内に築けるタイプだと思う。おそらく東京五輪でどんな勝ち方をするかのイメージもあって、それに向けて着々と物語を紡いでいる気がする。

五輪は各階級代表は1人だけ。阿部は「後がない」とこぼしていたけれど、これほどやりがいある状況もない。今後出る試合すべて勝つだけで、やることは明確だ。ここで負けるようでは五輪の金もイメージできないだろう。追われる丸山も隙を見せられない。どう転んでもドラマチックになりそうな代表争いをしっかり見届けたい。

(北島康介)

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