熊本市で大型商業施設完成 地震からの復興象徴
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2019/9/29 11:00
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熊本市の中心市街地で14日、ホテルや多目的ホール、バスターミナルなどを組み合わせた大型複合施設が完成した。2016年の熊本地震からの復興を象徴する施設で、開業後は広域から集客している。被災地ではJR熊本新駅ビルの建設や空港の民営化など大型プロジェクトが進行中で、県が掲げる「創造的復興」の実現が近づいてきた。

熊本城の近くに大型複合施設が完成した(熊本市)

熊本城の南一帯で開発された複合施設は、延べ床面積16万2000平方メートル。ホテル(205室)やマンション(159戸)のほか、29の乗り場がある屋内バスターミナルを備える。国と熊本市からの補助金を含めた総事業費は777億円。最大3000人を収容する多目的ホールは、市が290億円で買い取る。

複合施設の中核となる「サクラマチ」が開業した14日には25万人を集めた。これは熊本市の人口74万人の3分の1に相当する。開業から10日間の来館者は100万人を超えた。

開発主体の九州産業交通ホールディングス(熊本市)の矢田素史社長は「地震からの復興をアピールし、地方創生の全国モデルになるよう熊本を盛り上げていきたい」と話す。

バスターミナルは1日4000便が発着する。九州産交はこれまで1日2万~3万人だったバス利用者を4万~5万人に増やす目標を掲げる。14日には主なバスや市電などを無料にしたところ、乗りきれず次の便を待つ客が相次いだ。熊本市内は交通渋滞が深刻で「中心部の車の平均時速は16キロと政令市で最悪」(同市)だが、14日はバスや市電の利用者が増えたため、渋滞がほとんど起こらなかったという。

被災地では大型プロジェクトが続く。JR熊本駅ではJR九州が新たな駅ビル(延べ床面積10万7千平方メートル)などを建設中で、駅ビルは21年春に完成予定。店舗面積は3万9000平方メートルと、九州の駅ビルでは博多駅に次ぐ規模になる。200室のホテルも入る。

建物にはガラスを多用し、外から見える吹き抜けに人工の滝を設けて「水と緑の立体庭園」を演出する。集合住宅やオフィスビル棟も建設し「商業、娯楽、住居、事務所の4つがそろうまちづくりを進める」(JR九州)計画だ。

街を被災前より良くする「創造的復興」の大きな柱は熊本空港の民営化だ。三井不動産が代表となり、地元企業を含む11社で設立した「熊本国際空港」(熊本県益城町)が20年4月に一体的な運営を始め、地震で損壊したターミナルビルを建て直す。

現在は鉄道で空港に行けないので、JR豊肥線から空港に乗り入れる鉄道新線をつくるプロジェクトも始まっている。

熊本県は国やクルーズ船大手の米ロイヤル・カリビアン・クルーズと、八代港(八代市)でクルーズ船の寄港拠点の整備を進める。

地震で損壊した建物の復旧がほぼ一段落し、建設・土木や耐久消費財の購入が牽引してきた経済成長に頭打ち感が出てきた。肥後銀行系のシンクタンク、地方経済総合研究所(熊本市)の推計では、19年度の県内名目総生産は6兆982億円、個人消費を示す民間最終消費支出は3兆6121億円と、共に前年度から横ばい圏にとどまる。

大規模複合施設の完成やそれに続く大型プロジェクトの経済効果を、さらなる成長につなげられるかが、今後の熊本の焦点だ。

(熊本支局長 佐藤敦)

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