ECB、タカ派理事が突然辞任 量的緩和反対派
【ベルリン=石川潤】欧州中央銀行(ECB)は25日夜(日本時間26日未明)、ラウテンシュレーガー専務理事が10月末に退任すると発表した。ドイツ出身の同氏は量的緩和政策の再開を決めたドラギ総裁の緩和路線に批判的な立場だった。任期を2年以上残しての突然の辞任劇は金融市場の臆測を呼びそうだ。

ECBによると、ラウテンシュレーガー氏は25日、ドラギ総裁に10月31日付で退任したいという考えを伝えたという。ドラギ総裁は25日公表の声明文で、ラウテンシュレーガー氏の銀行監督の体制強化などに果たした役割に対して改めて謝意を示した。
ECBは今回の辞任の理由を明らかにしていないが、2014年に専務理事に就任したラウテンシュレーガー氏は異例の金融緩和に慎重な「タカ派」だった。8月末には「量的緩和政策を新たに始める必然性を感じない」と語っていた。
ところが、ECBは9月12日の理事会で、慎重論を押し切って量的緩和の再開を決定。11月1日から国債などの買い取りを始めることにした。ラウテンシュレーガー氏は買い取り再開の前日にECBを去ることになる。
金融政策が限界を迎え、銀行の収益悪化などの副作用が強まるなか、ECB内の路線対立は激しさを増している。11月1日にドラギ総裁の後継に就く見通しのラガルド氏は、遠心力が高まる理事会を再びまとめ上げることができるか手腕を問われることになる。
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