iPS細胞で「ミニ多臓器」 肝臓や膵臓など連結 東京医歯大
東京医科歯科大学の武部貴則教授らは、人のiPS細胞から、肝臓や膵臓(すいぞう)が胆管で腸とつながった5ミリ角ほどの「ミニ多臓器」を作ることに成功した。移植後に体内で長期間働く臓器を実現できるとみて、10年以内に人の患者への移植にこぎつけたい考えだ。複数の臓器が連なったミニ臓器は創薬研究などにも役立つ。

英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。
武部教授らは、まずiPS細胞から原始的な腸の構造を作り、腸の前方と中部から細胞のかたまりを採取。2種類の細胞を接触させて60日ほど酸素の多い特殊な環境で培養すると、境界部分からミニ多臓器が育った。肝臓で分泌された液体が胆管を通り、原始的な腸へ流れ込む様子を確認。胆管に異常がある遺伝病の症状の再現にも成功した。
従来の再生医療研究では単独の臓器を作る研究が盛んだった。武部教授は「複数の臓器が原因の病気は多い。今回の成果が仕組みの解明や治療法開発につながる」と話している。