トランプ氏国連演説、対中・イラン強硬崩さず

2019/9/25 20:04
保存
共有
印刷
その他

【ニューヨーク=永沢毅】トランプ米大統領は24日の国連総会の一般討論演説で、緊張が高まるイランや貿易交渉が激しさを増す中国に引き続き強硬姿勢を打ち出した。ただ、両国とも容易に妥協する構えをみせず、制裁を中心に圧力に頼るトランプ氏の手法で事態を打開できるかは見通せない。2020年大統領選をにらんだトランプ外交は難路が続く。

24日、米ニューヨークの国連本部で一般討論演説するトランプ大統領(AP=共同)

「米国はこの重大な経済の不公平に終止符を打つため、断固とした行動をとる」。演説でまず標的としたのが中国だ。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟以降も技術の強制移転や知的財産の窃取などに頼る成長モデルを推し進めてきたとして非難。「長年大目に見られてきたが、そうした日々はもう終わった」と改革を迫った。

次にイランをやり玉にあげて「脅威をあおる行動を続ける限り制裁は解除されず、厳しくなる」と譲歩を要求。「すべての国は行動する責務がある」と、各国にイラン包囲網の構築への協力を求めた。17年の演説で「完全破壊」を警告した北朝鮮には「非核化しないといけない」と述べるにとどめ、18年に続いて批判を封印した。

17年1月の就任以来、反目する国には累次の経済制裁や軍事行動もちらつかせ、交渉や取引に応じるよう圧力をかけてきたのがトランプ外交の特徴だ。

とはいえ、それで大きな成果につながったケースは少ない。改定に成功した韓国との自由貿易協定(FTA)や北大西洋条約機構(NATO)の国防費負担の引き上げなど、これまでの成果は日韓や欧州など同盟国や友好国に偏っている。

「あす安倍晋三首相と会い、日本との素晴らしい貿易協定の最終合意に向けて前進する」。24日の演説でも誇ったのは、25日の最終合意をめざす対日貿易交渉や、北米自由貿易協定(NAFTA)に代わるカナダ・メキシコとの新協定だった。

同盟国や友好国には高関税や防衛協力の見直しなどの脅しが効いた。一方、中朝やイランといった敵対する勢力との交渉はほとんど実を結んでいないか、協議入りすらできていない。

米戦略国際問題研究所(CSIS)のハムレ所長は、その原因を「トランプ氏はビジョンを共有できなかったり、利害関係が異なったりする相手との交渉でまともに戦略を描いた経験がないためだ」とみる。同盟国とはあるべき国際秩序や安全保障観を共有しやすいが「中国や北朝鮮、イランはそうではなく、根本的な点で相いれない」(ハムレ氏)。

トランプ氏は演説で「米国は平和を心から求める全ての人々と友好関係を結ぶ用意がある」と語り、イランに対話に向けた秋波を送るのを忘れなかった。ただ、トランプ氏にとって中途半端な妥協は、支持者の離反を招くリスクもはらむ。

北朝鮮への先制攻撃やイランの政権転覆が持論のボルトン前大統領補佐官(国家安全保障担当)の存在は、圧力頼みのトランプ外交の一端を象徴していた。ボルトン氏の解任には、そうしたやり方が曲がり角に来ているだけでなく、思い描くような成果を出せていないというトランプ氏の迷いも映っている。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]