三菱重、H2B発射成功 定時打ち上げ課題に

2019/9/25 18:11
保存
共有
印刷
その他

三菱重工業は25日、基幹ロケット「H2B」8号機の打ち上げに成功した。11日に直前の火災で発射を延期し、2週間遅れで再打ち上げにこぎ着けた。今回浮き彫りとなったのは同社が強みとする「オンタイム(定時)打ち上げ」の難しさだ。コストや地理的条件で欧米に劣る日の丸ロケットの競争力を発揮するには、機体・部品の品質をさらに高める必要がある。

種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げたロケットには宇宙航空研究開発機構(JAXA)の無人補給機「こうのとり」が載っていた。国際宇宙ステーション(ISS)に食料などの物資を供給する。

今回の延期の原因は発射台で静電気をきっかけに断熱材が燃えたことだった。7号機も直前に部品の不具合が見つかり延期した経緯がある。立て続けの延期で、強みとする定時打ち上げの信頼性を損なう恐れがある。

世界のロケット市場は民間へ事業移管が進み競争が激しい。米スペースXがロケットの再利用で価格破壊をしかけ、仏アリアンスペースも打ち上げに優位な赤道直下の仏領ギアナに発射場を持ち、地理的強みを生かす。

H2Bの打ち上げ成功率は100%を維持している。H2Aを含めた成功率は97.9%となり国際水準の95%を上回る。高い打ち上げ成功率に加え、顧客が打ち上げたいタイミングで正確に人工衛星などを宇宙に届ける定時打ち上げを、競合に対する日の丸ロケットの優位性としてきた。

定時打ち上げの能力低下は、受注競争に不利に働く。JAXAと三菱重工は20年度に次世代の「H3」の初号機を打ち上げる計画。低コスト化をさらに進める考えで、品質との両立のハードルは高くなる。定時打ち上げの能力を維持するため、部品や素材の品質安定性の向上が課題となる。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]