FCVなど1千万台 世界目標に 水素閣僚会議
水素エネルギーの利用拡大を議論する水素閣僚会議が25日、都内で開かれた。議長をつとめた菅原一秀経済産業相は燃料電池を使った車両を今後10年間で計1千万台に増やす世界目標を提案し、参加各国が同意した。温暖化対策として二酸化炭素(CO2)を排出しない水素の普及を目指し、コスト低減につながる市場拡大を急ぐ。
水素は関連技術にかかるコストが高く、燃料電池自動車(FCV)の普及台数は世界全体で数万台にとどまっている。今回の世界目標に拘束力はないが、各国が市場拡大を目指す方針を示すことで企業などの投資を呼び込む。目標はFCVを中心としたもので、産業車両の台数なども含む。
燃料を供給する水素ステーションを現状の数百カ所から1万カ所にすることも目標に盛った。水素閣僚会議は昨年に続き2回目。英国やオーストラリアなど約10カ国の閣僚が参加し、事務方を含めて米国や欧州勢など30以上の国・地域や国際機関が集まった。
火力発電などで排出されるCO2を産業で再利用する「カーボンリサイクル」の産学官国際会議も同日、都内で開かれた。菅原氏は実証研究の拠点整備や研究内容の共有に取り組むと強調。会議に合わせ、オーストラリアとの協力覚書(MOC)も締結した。