勝利のメンタリティー(山本昌邦)

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サッカーW杯、日本V 夢実現へ確かな地殻変動

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2019/9/26 3:00
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サッカー日本代表は9月から始まったワールドカップ(W杯)カタール大会アジア2次予選を、10日のミャンマー戦に2-0と快勝して順調に滑り出した。来年の東京オリンピック・パラリンピックを視野に置きつつ、3年後のW杯で新たな歴史をつくる挑戦が始まったわけである。

W杯カタール大会アジア2次予選の初戦でミャンマーに快勝し、タッチを交わす日本イレブン=共同

W杯カタール大会アジア2次予選の初戦でミャンマーに快勝し、タッチを交わす日本イレブン=共同

これまでの日本はW杯アジア予選の最初の試合で苦労することが多かった。前回のロシア大会はシンガポールを相手に、埼玉スタジアムでよもやの0-0の引き分け発進になったくらいである。理由はシンプルだ。初戦ならではの緊張感がある上に、最初の試合ということでコンビネーションも未調整な部分が出てしまう。どうしても硬い試合になってしまうのである。

今回のミャンマー戦は日本国内の環境との違いにも直面したようだ。特に練習環境に差があって、現地入りしてから十分なトレーニングができなかったと聞く。それでも、きちんと落ち着いて、隙なく集中して戦って、勝ち点3を確保したのだから、十分に及第点を与えていいだろう。

統一感あり、安定した試合運び

特に私が感じたのは、チームが一つになっていたということ。現地入りしてから練習場と試合会場のピッチの状況、雨の多い気候を体感しながら「難しい試合になるな」と覚悟したのだろう。そして「そんなことに文句を言っても始まらない」「やるべきことをしっかりやろう」と、吉田麻也(サウサンプトン)や長友佑都(ガラタサライ)らベテランを中心に気持ちをしっかりつくっていったように思う。

その結果、戦い方に統一感があった。スタートから理想的なサッカーを目指すより、まずはノーリスクで試合に入り、ピッチや天候に慣れることを優先する。そういう意図を選手全員の振る舞いから感じた。最初は長めのパスを多く使い、無理にパスをつなぐよりもタッチに逃げるときは逃げるということも徹底していた。そういう配慮がゲームに安定感をもたらしたのだと思う。

前監督の西野朗氏の下でコーチを務めていた森保一監督は、歴代の外国人の代表監督と違って、予選の最初の段階からアジアの戦いも自チームの戦力も熟知している。選手も森保監督の目指すものを理解できている。それもまた戦いぶりに安定感を与えたのだろう。

この試合で81分に中島翔哉(ポルト)と代わった久保建英(マジョルカ)がW杯予選にデビューした。前でタメをつくれる久保建が右MFに入ってから、同じ列のSB酒井宏樹(マルセイユ)が生き生きとオーバーラップするようになった。

中島、南野拓実(ザルツブルク)が挙げた2得点だけでは「寂しい」という意見もあるが、むしろ私はミャンマーの善戦をたたえたいと思った。

この国も他のアジア勢と同じく、近年はサッカーの強化に力を入れている。2014年のU-19(19歳以下)アジア選手権でベスト4に勝ち上がり、翌年のU-20W杯にも出場した。そういう経験を踏まえて選手が成長し、今回の善戦があったのだろう。ちなみに、この夏まで、同国サッカー協会のアカデミー(育成部門)で監督を務めたのは日本から派遣された古賀琢磨氏だった。

久保建(中央)を囲むミャンマーの選手たち。ミャンマーは敗れはしたが善戦だった=共同

久保建(中央)を囲むミャンマーの選手たち。ミャンマーは敗れはしたが善戦だった=共同

ミャンマーがベスト4になった14年のU-19アジア選手権で、日本は準々決勝で北朝鮮にPK戦で敗れ、U-20W杯出場を逃している。そのとき優勝したのは、今年のアジアカップ決勝で日本を下し、初のアジア王者になったカタールである。

振り返ると、このころの日本のユース世代は苦戦続きだった。1995年大会から2年置きに7大会連続でU-20W杯に出場していたのが、07年大会を最後に途切れてしまったのである。以後4大会連続でアジアの壁を越えられず、再び世界の舞台に返り咲いたのは17年大会からだ。

この17年から日本はU-17W杯、U-20W杯とも2大会連続で出場を果たしている。これは日本サッカーにとって初めてのこと。日本サッカー協会の田嶋幸三会長が就任時に掲げた「育成、ニッポンの復活」は十分に成されていると実感する。

ただ、私の中には「まだまだこれから」という気持ちが色濃くある。アンダーエージの2つのW杯には何回も繰り返し出場し、フル代表のW杯で優勝するまで、ずっと世代間の競争を続けさせなければならないと。念頭にあるのは、05年1月の天皇杯決勝の前に、当時の川淵三郎・日本サッカー協会会長が行った「JFA2005年宣言」である。

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