帰国費用133億円、トーマス・クック破産で英政府負担

2019/9/24 21:01
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【ロンドン=佐竹実】英老舗旅行会社トーマス・クック・グループが破産した問題で、英政府の負担が1億ポンド(約133億円)にのぼることが24日、分かった。足止めされた旅行客を帰国させるためのチャーター機代などがかさむため。政府は、破産による混乱を招いた同社の経営に問題がなかったか調査を始めた。

トーマス・クックのチェックインカウンターに旅行者が長蛇の列をつくった(24日、スペイン)=ロイター

トーマス・クックのチェックインカウンターに旅行者が長蛇の列をつくった(24日、スペイン)=ロイター

トーマス・クックは23日に破産を申請。傘下の航空会社を含む全ての営業が停止した。ツアーを利用した英国人は15万人にのぼり、航空便を失ったことで多くが空港で足止めされた。英政府はチャーター機などで2週間のうちに帰国させる。

レッドソム英ビジネス・エネルギー・産業戦略相は、突然の破産を防げなかったトーマス・クックの経営陣などについて調査するよう指示を出した。英地元紙によると、ピーター・ファンコーサー最高経営責任者(CEO)の過去5年の収入が800万ポンドを超えたことにも批判が出ている。

1841年に実業家のトーマス・クックが創業した同社は、旅行会社の元祖とされる。団体旅行やパッケージ旅行で鉄道料金などを割安にし、国外旅行を市民の娯楽の一つとして定着させた。旅行者用小切手(トラベラーズチェック)を世に広め、現代の旅行会社の礎を築いたとされる。

金融業、航空会社など幅広く事業を広げた同社だが、2000年代の急速なネットの普及や消費者の嗜好の変化に対応できなかった。

ライドシェアや民泊が世界で存在感を増し、若者を中心にネットで移動手段や宿泊場所を自分で決めて旅行する人が増えている。トーマス・クック社の破産は、同社が築き上げた従来型の旅行会社のビジネスモデルが曲がり角に来ていることを示しているといえる。

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