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英議会閉会は「違法」と最高裁 ジョンソン氏窮地

議会25日再開へ 野党は首相辞任を要求

(更新)

【ロンドン=篠崎健太】英最高裁判所は24日、ジョンソン首相が10日から約1カ月にわたる議会閉会を決めたことについて「違法」との判決を下した。政府が長期閉会の理由を明確に示していないと指摘し、欧州連合(EU)離脱前の重要な時期に審議の機会を奪ったと断じた。ジョンソン氏の強硬策が司法からも封じられたことで、一段と窮地に追い込まれた。

バーコウ下院議長は「議会閉会を違法とした最高裁の判決を歓迎する。下院は遅滞なく開かれなければならない」との声明を出し、25日に議会を再開する方針を決めた。ジョンソン首相は24日、報道陣に対して「強く反対するが、判決は尊重する」と述べた。

長期閉会の違法性が確定したことで、10月末の離脱実現を目指すジョンソン氏の政治的な立場が一段と険しくなるのは必至だ。野党各党は「エリザベス女王をミスリードした」などと批判し、一斉に辞任を要求した。労働党のコービン党首は「民主主義を侮辱し権力を乱用した」とし、進退を考えるよう迫った。

ジョンソン政権は「新たな政策の実現には一度議会を閉じて新たな会期が必要になる」との理由で、EU離脱の目前にもかかわらず9月10日から10月13日までの閉会を決めた。8月末にエリザベス女王に助言し、閉会の承認を得ていた。これに対し反対派は「EU離脱を強行するために、反対勢力の動きを封じるのが狙いだ」と訴え、一部議員らが提訴していた。

判決は11人の判事の全会一致で決まった。ヘイル裁判長は判決文を読み上げ「(EU離脱で)国のあり方を根本的に変えることになるにもかかわらず、議会を長期間、閉会した」と政府を批判した。「下院は国民の代表として、この大きな変化について意見を言う権利がある。この国への民主主義への影響は甚大だ」と述べ、閉会は違法で無効になったと説明した。

裁判では、ジョンソン氏が女王から閉会の承認を得るために説明を尽くしたかどうかも焦点になった。最高裁は長期閉会の合理的理由について説明が不十分だったと判断した。結果として民主主義の根幹を担う議会の役割を軽視することになり「女王への助言は違法だった」と結論づけた。

ジョンソン政権は7月下旬の発足後、議会に「目玉戦略」を相次いで阻止されてきた。まず解散総選挙の前倒し実施を議会に否決された。次に議会は「合意なき離脱」を防ぐため、離脱期限を10月末から3カ月延期するよう政府に義務づける法律を成立させた。

今回の判決で司法までが強権的な政権運営に待ったをかけた。政権への打撃は避けられず、野党側は議会と司法にどう従うか、ジョンソン氏を厳しく追及する構えだ。

再開後の議会がどのような日程で運営できるかも焦点となる。労働党が党大会を開催中で、今月29日から10月2日までは与党・保守党が党大会を予定しており、政治日程は詰まっている。ジョンソン氏はいったん議会を再開した後、数日後に議会をまた閉じる案も取り沙汰される。野党が求める辞任に応じるかは不透明で、総選挙をにらんだ駆け引きが激しくなる可能性もある。

裁判は英北部スコットランドの上級裁判所とロンドンの高等法院で行われた2件の裁判の結果を受けて行われた。スコットランドではEU残留派議員らが訴えを起こし、上級裁の3人の判事が満場一致で「違法」と判断した。実業家が提訴したロンドンでは高等法院が訴えを退けたが、原告側の上訴を認めていた。

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