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デジタル人民元「発行時期は未定」 中国人民銀総裁

海外流通やリスク管理など課題 具体的言及は初

【北京=原田逸策】中国人民銀行(中央銀行)の易綱総裁は24日の記者会見で人民銀行が研究中のデジタル通貨の発行について「(発行に向けた)スケジュール表はない。研究、試験、評価、リスク管理などがまだ必要だ」と語った。市場でくすぶる早期発行の観測を打ち消したが、総裁が会見で「デジタル人民元」に具体的に言及するのは初めて。研究が進んでいる現状をうかがわせた。

中国人民銀の易綱総裁が「デジタル人民元」に具体的に言及するのは異例(24日の記者会見、北京)=ロイター

10月1日の建国70周年に関連した北京市内での記者会見で語った。易氏は人民銀行が2014年から専門チームでデジタル通貨を研究していると紹介し、「前向きな成果が出ている」と述べた。発行の狙いを「現金の一部を代替することが目標だ」と説明した。

発行の枠組みについては「中央銀行と商業銀行の2層の運用体系にする。いまの通貨の波及経路と体系は変えない」と語った。まず、人民銀行がデジタル通貨を発行し、市中銀行を通じて家計や企業に行き渡らせる方針とみられる。

「(通貨の)集中管理を堅持する」と語り、人民銀行が発行や流通を一元的に管理する考えを示唆した。「ブロックチェーン(分散型台帳)でもいいし、いまの電子決済を基礎にした新技術でもいい」とも述べた。

米フェイスブックがデジタル通貨リブラの計画を公表して以降、人民銀行OBや中堅幹部からデジタル人民元に関する発言が相次いでおり、市場では「年内にも発行する」との臆測が広がっていた。易氏は発行時期を未定だとしたうえで、乗り越える必要がある最大のハードルに「国境をまたぐ利用」を挙げた。

国境を越えてデジタル人民元が流通すれば、「マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金の対策、タックスヘイブン(租税回避地)など一連の監督規制への対応が必要になる」と語った。

中国経済の現状には「合理的な区間で動いている」との見方を示し、安定的な成長維持に自信を示した。金融政策は「穏健な方向と強さを保つ」と述べ、「他の国の中央銀行がやっているような大幅な利下げや量的緩和を急いでやることはない」と語った。

当面は大規模な金融緩和はせず、預金準備率や貸出金利の小刻みな調整にとどめる方針を示唆したものだ。

易氏は世界で進む金融緩和に「あと数年たち、どこかの主要な経済体の金融政策が依然として正常であれば、この経済体は世界経済の希望だし、市場の羨望の的になる、というのが私の判断だ」と語った。中国は少なくとも今後数年間、量的緩和やマイナス金利など非伝統的な金融政策に頼らず、経済を安定運営することを目指す方針を示したとみられる。

先進国より高い金利水準を維持することで海外マネーを金融市場に呼びこみ、米国との貿易戦争などによる経常収支の悪化を補う狙いもあるとみられる。

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