冷熱エンジの菱熱工業、葬儀業界に製品・技術提案

自動車・機械
2019/9/24 10:40
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冷熱エンジニアリングの菱熱工業(東京・大田)は空調技術を生かした葬儀業界向け製品を開発した。都市部では火葬場の予約待ちが課題になっており、遺体をドライアイスを使う以外の方法で丁重に保管するニーズが高まっている。菱熱工業は冷媒で冷やす構造を採用した製品を実用化した。同分野への参入は初となるが、遺族に配慮したデザインにするなど仕様にも気配りした。

デザインも遺族や参列者に気配りした

遺体に風が直接あたらない構造にした

保管庫「ラステクト」は納棺前などの利用を想定しており、セ氏3~10度程度に温度を保つ設計にした。既存製品はファンを回転することで、庫内の空気を循環させる方法が一般的だ。ラステクトは穴の開いたステンレス板の裏に鋼管を張って、冷媒で間接的に庫内を冷やす構造にした。過度に乾燥するのを避けている。

価格は1台税別125万円で、送料が別途かかる。こうした保管庫は、一般的には特注品で200万円程度するという。業界内で安い競合製品と比べて2割ほど安い価格設定とする。葬儀サービス事業者を対象にしているが、新規参入となるだけに製品の普及を優先させる。

外観のデザインにもこだわった。冷蔵庫のように素材であるステンレスむき出しが多かったが、そうしたあつらえが最近では敬遠されがちだ。外装に「ダイノックシート」と呼ぶ、フィルムで装飾している。ダークブラウンの木目調、白の大理石風、ピンクの3種類を用意している。天窓、側面の窓も付けた。

葬儀を巡っては、火葬場の受け入れ体制の不足もあって、亡きがらを心を込めて送り出すサービスが注目されている。ドライアイスが一般的だった業界では、品質が優れる保管庫の技術力の活用に期待が集まる。冷熱エンジニアリング各社も、これまで培ったノウハウを展開できる分野と見込む。

高齢化を抱える課題先進国である日本ならではの動きともいえる。菱熱工業によると都心部でこうした保管庫の普及が進みつつある。住宅街などでの火葬場の増設は難しくなっている背景がある。地方でも同様な悩みが広がる。

国内では三菱電機傘下の三菱電機冷熱応用システム(和歌山市)やクーロン(東京都日野市)などが保管庫を販売している。クーロンはいったん保管を引き受けるための設備を扱い、主に葬儀事業者向けに提供している。

日本は2005年に死亡数と出生数が逆転した。17年の死者数は134万人、出生数は94万人となり、20年後には死亡数が170万人と、年間出生数の2倍以上になる見通し。

葬儀については本人が残された家族へ負担を軽くするため、火葬のみの葬儀(直葬)や家族葬への希望が増えている。インフラとのギャップを抱える今、性能に優れる保管庫は葬儀事業者にとっても欠かせない。冷熱エンジにとどまらず、きめ細かい技術、メンテナンス力を生かす余地は大きそうだ。(西岡杏)

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