「ブロックチェーン」ゲームに活用、賭博該当も

2019/9/23 23:00
保存
共有
印刷
その他

暗号資産(仮想通貨)の基盤となるブロックチェーン(分散型台帳)を活用したオンラインゲームが急増している。仮想通貨の取引から派生した技術だけに、ゲームで獲得したアイテムなどを他の人と売買できる仕組みが備わっているのが特徴だ。従来のゲームでは利用者間のお金のやり取りはタブーだったが、新技術が状況を変えた。ただゲームの設計次第では、法律で禁止されている賭博行為に該当しかねないとの懸念も出てきた。

「ゲームで育てていたネコを売ったら2万円分もうかった」。東京都内に住む中島裕介さん(仮名、28)は"臨時収入"に笑みがこぼれる。

遊んだのはカナダ企業が手掛ける「クリプトキティーズ」というブロックチェーンゲーム。内容はネコに見立てたキャラクターを交配させ、新しい種類のキャラを生み出すというもの。自分好みのキャラを作って世話をするだけなら従来と変わらないが、双方の合意で他の人に売り渡せる。仮想通貨「イーサリアム」を介して決済する。

希少性や見た目のかわいさなどで愛好者から高い評価を得れば、高値で売れるのは現実世界と同じ。このゲームでは過去に1000万円で売買されたキャラもいるという。

パソコンやスマートフォンで遊ぶオンラインゲームと一口にいっても、分散してデータを管理するブロックチェーン活用型と、一括管理する従来型の2種類に分かれる。

これまで主流だった従来型では、キャラやアイテムを現実世界で売り買いするのをゲーム会社は禁じてきた。日本オンラインゲーム協会によると、ゲームデータの所有権はあくまでゲーム会社にあり、利用者が勝手に処分できないとの立場だ。アイテムをお金で素早く得られるとなると「純粋な娯楽ではなくなってしまう」との判断もあった。従来型はゲーム会社の目が届き、コントロールしやすい。

だがここ1年ほどの間にブロックチェーンを使ったゲームが普及するにつれ、風向きが変わってきた。アイテムなどがどの利用者に帰属するのか、ブロックチェーン上に書き込んで管理し、アイテムを一種の仮想通貨のように扱う。システムは最初から自由な取引を前提としており、アイテムなどを売買するゲームの開発が進んだ。

国内企業の参入も増えている。2018年末にはダブルジャンプトーキョー(東京・千代田)が「マイクリプトヒーローズ」の提供を始めた。敵と戦いアイテムを獲得したり、他の利用者との対戦でレベルを上げたりする。上野広伸最高経営責任者(CEO)は「自分の持ち物であるキャラやアイテムで新しい遊び方ができる」と説明。アイテムを賞品として、対戦イベントを自ら開くといった方法だ。

もっとも、新しい技術ゆえに思わぬ落とし穴もある。ゲームで有料のクジを引いて、当たれば珍しいアイテムなどが手に入る「ガチャ」。未成年者への課金が一時社会問題化したのは記憶に新しい。ガチャと、ガチャで手に入れたアイテムの換金が組み合わさると「刑法で禁止されている賭博にあたる可能性がある」と斎藤創弁護士は指摘する。

価値の高いアイテムが高額で換金できるとなると、射幸性をあおりかねない。日本企業ではブロックチェーンゲームでガチャは導入しないとの声が多いが、海外勢が日本向けに提供するゲームには、ガチャと換金の両方が備わったものもすでにあるという。

賭博罪の場合、ゲームの提供会社が責任を問われるほか「明らかにギャンブルとして利益を得る目的でゲームを利用している人も、法への抵触が問題となる可能性がある」と都内の弁護士は話す。

アイテムなどの取引にお金が関わることから、ゲームがマネーロンダリング(資金洗浄)の隠れみのになるのでは、と指摘する向きもある。ハッキングなどでデータが失われた場合の責任の所在を巡る議論も始まったばかりだ。

ゲーム分野へも侵食しつつあるブロックチェーン技術。利用者同士の交渉を通じたアイテムの売買はゲームの幅を広げる半面、従来予期しなかったリスクも内包しているのが現状だ。(須賀恭平)

ゲーム数、1年で3倍に

ゲームの楽しみ方は専用機から、スマートフォンやパソコンによるオンライン型に移行しつつある。ゲーム雑誌を発行するGzブレイン(東京・中央)によると、オンラインゲームの国内市場規模は約1兆2000億円と、ゲーム全体の7割。ブロックチェーンゲームの人気もじわりと高まっており、情報サイト「ステートオブザダップス」の調べでは、2019年8月までに累計3000タイトルを超え、18年初めに比べ3倍超に増えた。

ゲームを巡っては、対戦競技「eスポーツ」も注目を集める。米国では16歳の少年が3億円の優勝賞金を獲得するなど話題となった。一方、世界保健機関(WHO)は5月、ゲームのやり過ぎで日常生活に支障をきたす「ゲーム障害」を疾病の一種と認めた。子どもも含めてスマホやパソコンが普及し、ゲームがより身近になったのが影響しているとみられる。お金の管理も含めて目配りが欠かせない。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]