エジプトで大統領退陣求めデモ 証取が取引一時停止

2019/9/23 6:23
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【カイロ=飛田雅則】エジプトの首都カイロなどで20、21日にシシ大統領の退陣を求めるデモが発生した。現政権や軍の汚職を批判するデモで、街頭での抗議行動が事実上禁じられる同国では異例。株式市場では混乱を恐れた投資家による株式を売却する動きが殺到し、同国証券取引所は22日、取引を一時中断した。シシ政権が言論弾圧を強める可能性がある。

エジプトのカイロ中心部で反政府のスローガンを叫ぶデモ参加者たち=ロイター

20日のカイロの中心部タハリール広場や地中海沿いのアレクサンドリアで発生したデモは、21日には北東部の港湾都市スエズなどにも広がった。AFP通信によるとカイロのデモで70人が拘束された。スエズではデモ隊と治安部隊が衝突し、治安部隊が実弾や催涙弾を使って、デモ隊の排除に動いたという。

エジプト治安当局はデモの拡大を抑えにかかっている。民衆がSNS(交流サイト)などを通じて、抗議行動を呼びかけることを防ぐため、22日もネットを制限しているもようだ。

混乱が経済活動に影響することを懸念した投資家は22日の取引開始とともに、エジプトの証券取引所に上場する主力銘柄に売りを浴びせた。通信や鉄鋼など主力株が前週末に比べ10%近く下落。株価急落を受けて同証取は約30分間、取引を停止。その後、取引は再開されたが、エジプトの株価指数「EGX30」は22日、前週末比5%安で取引を終えた。

現地メディアによると、同証取が取引を一時停止するのは、経済危機に直面したエジプトが国際通貨基金(IMF)の金融支援を受け入れることを表明した2016年11月以来という。

一連のデモのきっかけは、スペイン在住のエジプト人実業家が「現政権は公費により、豪華な大統領宮殿を建設している」などとSNSで、政権や軍の腐敗を暴露したことだ。ネット上でデモを呼びかける声が広がっていた。

エジプトでは11年の民主化運動「アラブの春」で長期独裁のムバラク政権が崩壊した。その後、初となる自由選挙で誕生したモルシ政権も厳格なイスラム主義を導入し人々が反発。13年当時、国防相だったシシ氏が事実上の軍事クーデターを率いて、モルシ氏を追放した。

その後、シシ氏は強権支配を敷き、治安維持を理由に、政権を批判する活動家やジャーナリストを拘束するなど弾圧を強めている。今年4月には憲法を改正し、シシ氏が30年まで大統領を続投できる道を開いた。経済再建のため、増税や公共料金の引き上げなど国民に負担を強いている。

今回のデモが政権転覆に直結するとの見方は出ていない。「春」以降、隣国リビアやシリアの内戦の長期化を目にした国民の多くは、政治的な混乱より安定を求めているためだ。

しかし、強権的なリーダーシップで秩序をもたらした実績を強調してきたシシ氏の威信が低下することは否定できない。今回のデモで政権の運営に国民の不満が募っていることが鮮明となった。強力な手法で維持してきた安定が見た目ほどではない可能性を印象づけている。

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