【カイロ=共同】エジプトの首都カイロなど複数の都市で20日、シシ大統領の辞任を求めるデモが行われた。ロイター通信などが伝えた。2011年の民主化運動「アラブの春」の混乱後に発足し、強権化を進めるシシ政権下で市民デモが行われるのは異例。
英BBCはカイロ中心部で20日、集まった市民が「シシ大統領は去れ」と大声で訴える様子を報じた。
デモがあったとされるのはカイロのほか、北部アレクサンドリアなど。小規模だったとされる。治安部隊がデモ隊に向けて催涙ガスを発射したとの報道もある。
エジプトメディアは「デモは行われていない」とロイターなどの報道を否定している。
エジプトでは9月上旬、シシ氏が「公金で豪華な宮殿を建てている」などと汚職を暴露する映像が出回り、SNS(交流サイト)を通じてデモを呼び掛ける声が上がっていた。
シシ氏は汚職疑惑を「うそと中傷」と否定。軍出身のシシ氏は、イスラム組織ムスリム同胞団出身のモルシ前大統領の失脚後、13年に実権を握った。19年4月には30年まで任期延長を可能にする憲法改正を成立させた。治安維持を理由に、政権を批判するジャーナリストを相次いで拘束するなど言論弾圧を強めている。