消費増税時、タクシー運賃上げ認めず 転嫁分のみ容認

消費税10%
地域総合
2019/9/21 16:29
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各地のタクシーやバスの事業者が10月1日の消費税率引き上げ分の転嫁と同時に求めていた通常の運賃改定を国土交通省が認めず、波紋が広がっている。タクシーでは8月の物価問題に関する関係閣僚会議で運賃引き上げに異論が示され、国交省が判断を先送りした。各事業者は収益改善に不可欠として、早期の認可を求めている。

長野県内のタクシー事業者は通常の運賃改定も求めていた(長野市のJR長野駅前)

長野県内のタクシー事業者は通常の運賃改定も求めていた(長野市のJR長野駅前)

国交省は8月下旬、10月1日からの各地のタクシーの新たな運賃体系を示した。値上げが認められたのは消費税率引き上げに伴う転嫁分のみで、東京都や北海道、大阪府、広島県など25都道府県の48地域で申請されていた通常の運賃改定が見送られた。

長野県全域のタクシー事業者は、待遇改善などの理由で予定していた12年ぶりの運賃引き上げが実施できなくなった。2018年12月ごろから要請し、19年4月には北陸信越運輸局(新潟市)も運賃改定が「必要」との判断を示していた。

長野県タクシー協会は9月3日付で、国交相宛てに運賃改定を求める要請書を提出した。同協会の滝川哲也会長は「この12年で燃料など経費が上昇し、値上げしないと吸収しきれない。処遇を改善しないと人手も集まらない」と訴える。

国交省の慎重姿勢は8月30日に開かれた物価問題に関する関係閣僚会議がきっかけだ。消費税率引き上げに伴う交通運賃がテーマとなり、タクシーの通常の運賃改定について、複数省庁からより丁寧な検討が必要との指摘を受けたという。

危機感を強めた全国ハイヤー・タクシー連合会も4日、国交省に申し入れ書を提出した。「想定していた増収効果を逸失し、追加の費用負担も発生するなど深刻な影響を及ぼす」として、通常の運賃改定の速やかな実施と今後の見通しを示すよう求めた。石井啓一国交相(当時)は「経済への影響なども見極めながら検討する」と述べた。

バスにも影響が出ている。川崎市交通局は10月1日の約24年ぶりの路線バスの税引き運賃の改定申請を断念した。大人で現在の191円から200円へ値上げし、増税分の転嫁を含む税込みのICカード運賃を206円から220円へ引き上げる計画だった。

市は燃料費の上昇に加えて、定年退職者の増加による退職金や車両更新などの負担増を理由に、18年度から国交省と調整を進め、19年2月に値上げを公表。必要な条例改正も市議会で議決した。

ところが、市によると、国交省側は19年度に入り、18年度の市交通局決算が黒字だったことなどを理由に「値上げ申請があっても認可は難しい」との考えを示した。

市は増税分のみを転嫁し、税込みICカード運賃は210円とする。現金払いは現在の210円に据え置く。福田紀彦市長は「市バスの経営状況は厳しい。できるだけ早く値上げを認めてもらいたい」と反論している。

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