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米、イラン制裁の限界露呈 中銀を対象に「二重指定」

【ワシントン=中村亮】米財務省が20日に発表したイランに対する制裁は、経済に打撃を与えて譲歩を引き出す戦略の限界を露呈した。制裁対象に指定したイラン中央銀行はすでに海外金融機関との取引が禁じられており、イラン経済への実質的な打撃は小さい。トランプ大統領は軍事行動に慎重な姿勢を崩さず、イランを国際社会から孤立させる外交にも活路を見いだすとみられる。

「イランにとって全く良くないことが起きている」。トランプ氏は20日、ホワイトハウスで記者団に対し、追加制裁の意義をこう力説した。ムニューシン財務長官も「大統領の指示に従って最大の圧力戦略を進めていく」と強調した。トランプ氏は18日、サウジアラビアの石油施設攻撃にイランが何らかの形で関与した可能性が高いとみて、「大幅な制裁強化」を指示した。

中銀への制裁自体は異例だが、米国の制裁メニューが乏しいことも鮮明になった。米政権は2018年11月にイラン中銀と外国金融機関の取引を原則禁じる措置を講じ、同中銀は事実上の制裁対象になっていた。20日の制裁指定には米金融機関との取引を禁じる効果があるが、そもそも取引がほとんどないとみられる。

イラン中銀は昨年秋の時点で同国の外貨収入源である原油輸出の決済取引を担いにくくなっている。国際決済ネットワークからも閉め出され、海外口座から資金を引き出せない状況にも陥っていた。

米政権はイラン経済を締め上げて同国指導部に対し、15年のイラン核合意に代わる新しい枠組みの交渉に応じるよう求めてきた。18年5月に核合意を一方的に離脱してから約1000の個人・団体を制裁対象に指定。制裁対象と取引すれば外国企業にも制裁を科す構えを見せてイランビジネスからの撤退を迫った。

経済制裁が限界に近づくなかで軍事行動を求める声が出る。トランプ氏に近いリンゼー・グラム上院議員は20日、レーガン政権下の米軍が1988年にイラン艦船を撃沈したことを引き合いに「イランの挑発に対抗する場合の基準になる」と指摘した。

トランプ氏は20日、イランへの軍事行動について「米国ほど準備が整っている国はない」と指摘。慎重姿勢を見せつつも選択肢から排除しない考えを改めて示唆した。米メディアによると、同日夕にはエスパー国防長官や制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長と面会し、軍事面での対応を協議したもようだ。

ワシントン近東政策研究所のマイケル・ナイツ上級研究員は米政権が当面は軍事行動を温存するとみる。軍事攻撃に踏み切れば米国が批判を浴び、ニューヨークで開催中の国連総会でイラン非難での結束を各国に促すことが難しくなるからだ。石油施設への攻撃はアジアの原油調達に大きな支障を及ぼすため、ナイツ氏は米国が中国とも対イラン政策で協調する余地があると指摘する。

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