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豚コレラ、ワクチン接種に転換 流通制限の範囲課題

農林水産省が豚コレラ対策で、これまで慎重だったワクチン接種にかじを切った。これ以上、感染が拡大すれば消費の現場にまで影響が及びかねないという危機感が背中を押した。ただワクチンを接種した豚肉は流通が制限される。輸出への影響をどう抑えるかなど課題も多い。

「養豚農家はいつ自分の豚が発症するか、精神的に追い込まれていた。我々の思いが受け入れられた」。ワクチン接種を求めてきた日本養豚協会の松村昌雄会長代行は、農水省の方針転換を評価する。愛知県田原市で養豚を営む瓜生陽一さんも「決断してくれたのはうれしい」と話す。

同日、記者会見した江藤拓農相は「(再発生から)1年が経過した上、飼育頭数が多い関東に広がる懸念も出てきた」と説明。これまでは殺処分による感染の封じ込めを進めたが、埼玉にまで広がったことで最後の手段だったワクチン接種の容認に方針転換した。

ワクチン接種を実施した後には課題もある。第一は流通制限だ。

ワクチンを接種すると豚がウイルスに感染したかどうかわからなくなるため、豚や豚肉には一定の流通制限をかける必要が出てくる。接種は岐阜や三重など、豚コレラが養豚場で発生した地域や、感染した野生イノシシが確認された地域で実施される見通し。

流通制限をどの範囲でかけるかは、地方自治体との調整が課題になる。江藤氏は「国も責任を負わなければならない」としており、国として一定の方針を示すという。

輸出への影響も懸念材料だ。日本は2006年にワクチンの使用を中止し、07年に国際的に「清浄国」であると宣言した。だが「ワクチン接種を国として決断した以上、清浄国と主張するのは難しい」(江藤氏)。清浄国でなくなれば輸出に支障が出る可能性がある。

農水省は香港やシンガポールなど日本産豚肉の主な輸入国に副大臣や政務官を派遣する方針。輸出の継続に向け協議を進めるが、各国がどう反応するかは見通せない。

豚肉相場の影響への見方は分かれている。食肉販売会社からは「イメージが悪化する可能性がある」「スーパーが輸入品を増やすかもしれない」と国産豚肉の需要停滞を懸念する声が上がる。

一方、豚肉の流通が制限されると「出荷頭数が減って、価格が上昇する可能性もある」(流通関係者)との声もある。農水省によるとワクチンを接種した豚肉を食べても健康に問題はなく、同省は風評被害の払拭に努めるという。

豚コレラとは別に「アフリカ豚コレラ」も中国などアジアで猛威を振るっている。伝染性や致死性が高い上、ワクチンもないため、国内でも広がれば影響はさらに大きい。農水省は養豚農家の警戒心が緩まないよう、引き続き衛生管理の向上を訴えていく方針だ。

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