中国、大幅利下げ見送り 背景に3つの壁
豚肉・人民元・住宅バブル

2019/9/20 18:37
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【北京=原田逸策】中国が2カ月連続で銀行の貸出金利を下げた。景気の下押し圧力に危機感を強めているためだが、下げ幅は0.05ポイントと小幅にとどまった。大幅利下げを見送った背景には豚肉高騰、人民元安、住宅バブルという3つの要因がありそうだ。

中国人民銀行は1年物ローンプライムレートを引き下げた=AP

中国人民銀行(中央銀行)が20日発表した2019年9月分の最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)は1年物で4.2%と8月分(4.25%)から下げた。いまのLPRは8月から公表が始まり、事実上の政策金利になった。銀行はこれに取引先の信用コストなどを上乗せして実際の貸出金利を決める。

これまで政策金利だった貸し出しの基準金利は4.35%。8月分のLPRは基準金利より0.1ポイント低かったので、今回で2カ月連続で利下げしたことになる。

李克強(リー・クォーチャン)首相は9月初めに「金利下げの措置を加速せよ」と指示していた。大幅利下げの期待も高まっていたが、人民銀は17日、市中銀行に短期資金を融通する「中期貸出ファシリティ」(MLF)の金利を3.3%で据え置いた。

LPRはMLF金利に各行の資金調達コストなどが上乗せされて決まるので、この時点で大幅利下げは難しくなった。みずほ総合研究所の三浦祐介主任研究員は「人民銀がMLF金利下げを見送ったのは、物価と為替への影響を気にしたのかもしれない」と話す。

7、8月の消費者物価は前年同月比2.8%上昇し、政府が上限とする3%に近づく。とくに庶民の食卓に欠かせない豚肉が8月は同47%も上がり、社会問題化しつつある。利下げには景気を刺激し、物価を押し上げる効果がある。大幅利下げで物価上昇が止まらなくなる事態を恐れた可能性がある。

通貨人民元にも下落圧力がかかる。8月初めに1ドル=7元台に突入、9月初めには同7.2元近くまで下落した。足元は落ち着くが、利下げを機に元売り圧力が再び高まる恐れは否定できない。

住宅バブルも金融緩和の壁になる。三浦氏は「住宅販売が持ち直すなど金融緩和のマネーが本来の誘導先である製造業ではなく、不動産に行っている。緩和をどんどん進めにくい一因」と話す。20日発表した、住宅ローン金利の基になるLPR5年物は4.85%で8月分から据え置いた。住宅バブルを引き続き抑える姿勢をみせた。

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