手塚治虫さん考案のロボ、夢と警鐘(古今東西万博考)
1970年・大阪 フジパン・ロボット館

関西タイムライン
コラム(地域)
2019/9/24 7:00
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今でも30分おきに公演をこなす

今でも30分おきに公演をこなす

ピアノやバイオリン、ドラムを興じる演奏ロボット、写真を撮るカメラマンロボ、子育てする育児ロボ――。1970年の大阪万博で近未来を予感させるロボが登場した。プロデューサーは漫画家の手塚治虫氏だ。

パビリオン名は「フジパン・ロボット館」。名古屋市に本社を置くフジパンが単独で出展した。子供の夢をテーマに約40体のロボを展示。6メートルの巨大飛行船も登場したという。

手塚作品らしく、未来に警鐘を鳴らす展示もあったという。パビリオン内の最後の展示「ロボットの未来」では、ロボが多様なロボを生産する。学者もいれば政治家も誕生し、結婚や子育てもする。ロボが人間化した姿を描いており、オチが「それが今のあなたです」。子供には難解ともいえる文明批評で終わる。

大阪府立大学の橋爪紳也教授は「単に楽しいロボットではなく、手塚の考えでは、人工知能(AI)に頼りすぎると人類は滅亡し、機械に文明を譲らざるをえないというメッセージを伝えている」と指摘する。

ロボのうちピアノ、ドラム、ハープなど5体は今も現役だ。2005年の愛知万博(愛・地球博)での展示を経て、愛・地球博記念公園内にある愛知県児童総合センターに寄贈された。上野裕センター長は「半世紀がたとうとする今でも毎日休むことなく演奏している」と胸を張る。

専用シアター内では30分おきに演奏。1日15公演で、多い日には1日1千人近い来館者を楽しませる。「熟年ロボ」のため不具合もしばしば。正常に動かないと「子供たちから『ピアノくんはいつ直るの』と要望が届きます」(担当者)。

(沖永翔也)

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