中部空港、新ターミナルが開業 LCC誘致課題に

2019/9/20 16:37
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中部国際空港(愛知県常滑市)で20日、格安航空会社(LCC)向けの第2ターミナルが開業した。訪日外国人(インバウンド)が増加するなか、まずは5社が乗り入れる。空港運営会社は徹底した低コスト運営や着陸料の減免でLCC路線を誘致するとともに、2本目の滑走路整備につなげたい考えだ。

「横浜から来た。中部空港は昔から好き」。20日午前4時40分の開業前、一番乗りでターミナルの入り口に並んだ安藤丈裕さん(44)は興奮を隠さなかった。日帰りで台湾を訪れるという。航空ファンの伊藤圭孝さん(24)の目的はターミナルの見学で「オープンという貴重な場面に立ち会えてうれしい」と話した。

第2ターミナルはジェットスター・ジャパン(千葉県成田市)やエアアジア・ジャパン(愛知県常滑市)などLCC5社が乗り入れる。料金、サービスともに手軽さを競う各社の事業モデルにあわせ、空港の施設は機能性を重視し、運用コストも抑えた。旅客が負担する旅客施設使用料は1280円(税込み、国際線)と、現行の第1ターミナルの半額程度だ。

中部国際空港の第2ターミナルが開業し、新千歳行きの便に乗り込む人たち(20日、愛知県常滑市)

中部国際空港の第2ターミナルが開業し、新千歳行きの便に乗り込む人たち(20日、愛知県常滑市)

手荷物の自動預け機や複数人が同時に検査レーンを利用できる「スマートレーン」を導入した。岡崎市在住の杉本一馬さん(29)は「実験的な取り組みでよい。自動化が全国でスタンダードになれば」と期待する。一方、搭乗口と旅客機をつなぐボーディングブリッジ(搭乗橋)や「動く歩道」はない。搭乗橋やバスは別途使用料がかかるためだ。

課題はLCC路線をどこまで誘致できるかだ。中部空港は航空会社が空港側に支払う着陸料の優遇策を拡充している。例えば2020年度からは、新たに就航する航空会社の着陸料は1年目が無料。2年目は70%、3年目も50%を、それぞれ規定から割り引く。

空港間の競争は厳しく、LCCは旅客需要に応じて路線・便数を弾力的に変える傾向が強い。第2ターミナルの旅客数は20日時点で年間約220万人分と、受け入れ可能枠(450万人)の半分どまりだ。中部空港全体の発着便に占めるLCCの比率は17%と、関西国際空港や成田空港と比べると低い。

中部空港の犬塚力社長は20日、「格安で機能性に優れた点を積極的に売り込んでいきたい」と力を込めた。9月中旬には愛知県の大村秀章知事と東南アジアを訪れ、ベトナムのLCC、ベトジェットエアの副会長らと会談。「20年6月にホーチミン線、7月にハノイ線、11月にダナン線の毎日就航を検討している」との返答があったという。

LCC誘致の成否は地元が期待する2本目滑走路の実現にもかかわる。中部空港の18年度旅客数は1235万人と、過去最高を更新した。2本目の建設には、政府が滑走路の本数を1本と定める空港の基本計画を変更する必要がある。航空需要の正確な見極めと、持続的な伸びが計画変更の条件になりそうだ。

(林咲希)

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