遠隔ロボット手術どう進む? 外科学会理事長が展望

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2019/9/20 23:00
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日経メディカル Online

今年度中には、当面検証の対象とする疾患を絞り込むとともに動物実験の取り組みを始めたい──。19日に開催された日本医学会連合のメディア懇談会で、日本医学会連合副会長で日本外科学会理事長の森正樹氏は、オンライン診療の対象として候補に挙げられた「手術」について、現状と今後の展望を紹介した。ただし、現在検討が進められている「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の見直し案に一部修正を申し入れていくとも語った。

日本医学会連合副会長で日本外科学会理事長の森正樹氏

日本医学会連合副会長で日本外科学会理事長の森正樹氏

オンライン診療については、2018年度診療報酬改定で「オンライン診療料」が新規に追加され、併せて「オンライン診療の適切な実施に関する指針」がまとめられた。この指針はオンライン診療に関する用語の定義や指針の対象、オンライン診療するための教育や提供体制のあり方について示している。

この指針はオンライン診療の普及や技術革新などを踏まえて定期的に見直すとされており、19年1月から見直しに関する検討会が開催されている。この検討会で指針の中に「手術」を盛り込む見直し案が検討されている。

遠隔手術については、情報通信技術や機器、手術支援ロボットの進歩により、遠隔地の患者をリアルタイムに直接手術できる状況になってきていることに加え、日本には手術支援ロボットが350台以上配備されており、オンライン診療の基本理念である「医療の質の向上、質の高い医療へのアクセシビリティーの確保、治療への患者の能動的関与による治療効果の最大化」に合致するとされ、指針見直し案に盛り込まれた。

■「技術的に可能になってきた」

近年、手術支援ロボットの登場により、手術室には手術台にセットされたロボットアームを、同じく手術室内に設置されたコンソールを術者が操作する術式が広がっている。さらに手術室内にコンソールを2台設置し、例えば一つに指導医、もう一つに若手外科医が座り、一つのロボットアームを操作するデュアルコンソール手術も行われている。術中、比較的容易な操作は若手外科医が行い、難しい場面では熟練した外科医が交代するといった具合だ。

「一つのロボットアームを2人の術者が2つのコンソールに座って手術をすることは珍しくなくなった。それを発展的に考えると、2人のうち1人は別の施設に設置したコンソールに座って、必要に応じて操作を交代するといった遠隔手術が技術的に可能になってきた」と森氏はいう。

そこで現在、日本外科学会、日本内視鏡外科学会、日本ロボット外科学会の3学会が中心となり、消化器外科や泌尿器科、婦人科領域など、どういう手術を取り上げるべきか、問題点や課題などの整理を始めている。また手術支援ロボットの製造販売会社や通信技術に関する企業などと協力して、遠隔手術の実施に必要な要件などを検討していく計画だ。

なお、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」見直し案では、遠隔手術の適応対象として、「高度な技術を要するなど遠隔地にいる医師でないと実施が困難な手術等を必要とし、かつ、患者の体力面などから当該医師の下への搬送・移動等が難しい患者を対象に行うこと」「情報通信機器について、手術等を実施するに当たり重大な遅延等が生じない通信環境を整え、事前に通信環境の確認を行うこと。また、仮に一時的に情報通信機器等に不具合があった場合等においても、患者のそばにいる主治医等の医師により手術の安全な継続が可能な体制を組むこと」とされている。

森氏は、「手技の上手な医師があるところにいて全国の患者を手術するという姿をイメージしているわけではない。あくまで各施設にロボット操作に習熟した外科医がいて、手術を行い、難しい場面、教育的な場面で遠隔地の熟練した外科医がサポートする体制があるべき姿だ」と紹介。見直し案の適応対象について「我々の考えとは異なるため、修正を申し入れていく」と語った。

(日経メディカル 加藤勇治)

[日経メディカル Online 2019年9月20日掲載]

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