民泊大手のエアビー、上場は来年に持ち越し

【シリコンバレー=中西豊紀】民泊仲介の米エアビーアンドビーは19日、検討を進めていた新規株式公開(IPO)について「2020年内を目指す」と発表した。3兆円超の企業価値がついたこともある同社を巡っては、投資家の間では19年の上場が予想されていた。シェアオフィス大手「ウィーワーク」を展開する米ウィーカンパニーがIPOの延期に追い込まれるなど、新興企業の上場環境には逆風が吹いている。
08年創業のエアビーは家の空きスペースを貸し出したい「ホスト」と、そこに宿泊したい「ゲスト」をアプリで結びつけるサービスで、米サンフランシスコが拠点。すでに欧州や日本を含めた世界10万都市で物件を扱っている。
上場方針の開示に先立つ18日、同社は19年の第2四半期について10億ドル(約1078億円)を超える売上高があると公表。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは関係者の話として18年の売上高は前年比で40%増だったと指摘している。
複数の米メディアはエアビーの上場は新株を発行しない「直接上場」になると報じている。同方式は6月に上場したビジネス対話アプリのスラック・テクノロジーズが実施しているが、証券会社に払う手数料を抑えられる一方で、上場後に一定数の買い手がつくことが不可欠となる。
17年の推計企業価値が310億ドルとなるなど、エアビーは上場をめぐる「目玉」企業のひとつだが、足元では他のスタートアップの苦戦が始まっている。
ウーバーテクノロジーズとリフトは上場後にそれぞれ収益性に懸念が生じ株価が急落した。ウィーカンパニーはガバナンスの問題も浮上し上場時期を9月から年内に延期した。エアビーについても投資家は20年に向けて収益性や成長性を厳しく吟味することになりそうだ。