日銀、緩和カードを温存 円高リスクふまえ
経済・物価「10月に再点検」

2019/9/19 19:57
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日銀は19日の金融政策決定会合で現行の金融緩和策の維持を決めた。米連邦準備理事会(FRB)をはじめ世界の中央銀行が金融緩和に動くなか、今後の円高リスクなどをふまえ、貴重な緩和カードを温存した格好だ。世界経済の下振れには警戒を強めており、10月に景気や物価動向を再点検する方針も表明した。

日銀は決定会合後の声明文で、海外経済について「減速の動きが続いている」として判断を引き下げた。米中の追加関税の引き上げが進み、中東情勢の緊迫化で原油価格が一時急騰するなど景気の下押し要因も増えたためだ。

経済協力開発機構(OECD)が19日発表した2019年の世界の実質経済成長率の見通しは2.9%で、前回5月から0.3ポイント下方修正した。

日銀が今回動かなかったのは、国内の景気や物価にはまだ波及していないと判断したためだ。黒田東彦総裁は19日の記者会見で「個人消費は比較的底堅く推移し、設備投資もしっかりした計画になっている」と述べた。

18日にはFRBが2会合連続の利下げを決め、先週には欧州中央銀行(ECB)も利下げや量的緩和の再開に動いた。米欧との内外金利差の縮小から円高が進めば輸出企業の収益悪化や株安を招く恐れがあったが、足元の円相場は1ドル=108円前後で推移。一時104円台を付けた8月下旬より円安・ドル高の水準にあり、日銀が現状維持を決めるのを結果的に後押しした。

日銀は主要中銀の中でいち早く大規模な金融緩和に取り組んできたとはいえ、直近の動きだけをみれば、金融政策を維持する少数派だ。超低金利が地方銀行などの収益圧迫や年金基金の運用難を招くといった副作用も顕在化しつつあり、日銀としては可能なら緩和カードは温存しておきたいというのが本音だ。

一方で市場参加者から無策とみられれば円高圧力が強まりかねない。このため決定会合後の声明文を通じて次回の10月末の決定会合で「経済・物価動向を改めて点検していく」と打ち出した。

10月会合はもともと四半期ごとの「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」を公表するタイミングだが、状況次第で追加緩和に動く可能性があると市場に印象づける狙いが透ける。会見で追加緩和への姿勢を問われた黒田氏は「前回の会合よりも前向きになっているかと言われればその通りだ」と応じた。

ただ日銀は7月の会合後の声明文でも物価上昇のモメンタム(勢い)が損なわれそうになれば「ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる」との一文を加えた経緯がある。米欧が利下げという現実の政策変更に踏み出すなか、「口先緩和」でどこまで市場の期待をつなぎ留められるかは微妙だ。

黒田氏は追加金融緩和に関して「政策のベネフィット(効果)とコスト(副作用)をしっかり比較考量して適切な措置を考える」と述べ、副作用にも目配りする考えを重ねて示した。

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