北海道は19日、2019年の基準地価(7月1日時点)を発表した。林地を除く北海道の平均価格(1平方メートルあたり)は3万5400円で、変動率はマイナス0.2%と28年連続の下落だった。リゾート地や札幌市近郊のベッドタウンの住宅地の勢いで下落率は9年連続で縮小したものの、人口減少が続く地域との二極化傾向も続いた。
北海道の地価トップは住宅地が札幌市の地下鉄東西線「円山公園」駅に近い北海道神宮北側(中央区宮ケ丘2の474の86、1平方メートルあたり28万1千円)。1989年以来31年連続でトップを守っている。商業地は35年連続で札幌駅南の中央区北3条西2の1の13外(同354万円)が首位だった。住宅地、商業地とも上位10位までの全地点が札幌市内だった。
住宅地の平均価格は1平方メートルあたり1万9200円。変動率はマイナス0.5%と22年連続の下落となったが、下落率は前年より0.5ポイント縮小した。前年と比較可能な743地点中146地点で地価が上昇した。
札幌市の住宅地の平均変動率は6.1%と、前年比2.2ポイント上昇。札幌市内で上昇率が高かったのは白石区(8.3%)、厚別区(7.8%)で、繁華街のある中央区の上昇率(7.5%)を上回った。北海道不動産鑑定士協会の斎藤武也氏は「白石区や厚別区は値ごろ感が強く、需要が高い」と話す。市中心部の地価が高止まりし、地下鉄やJR駅から近い地域に人気が集中している。
地価上昇は札幌市近郊の江別市(0.9%)、恵庭市(2.8%)、北広島市(4.7%)にも波及。斎藤氏は「安くて便利なところを求め、外縁部でも需要が高まっている」と分析する。
一方、北海道全体の商業地の平均価格は8万3700円で変動率は0.7%と2年連続でプラスだった。札幌市の平均は11.0%上昇した。
市町村別では千歳市の住宅地が7.8%、商業地が11.2%と上昇率が高い。自衛隊の安定需要に加え、新千歳空港の従業員のための共同住宅用地で需要が高い。帯広市も住宅地、商業地ともに上昇。商業地は18年まで26年連続で下落していたが「底値を打って上昇に転じた」(斎藤氏)。住宅地の上昇率は2.7%。住宅需要は近隣にも流れ、音更町で住宅地が2.4%上昇した。
ただ北海道全体を見れば地価は低迷が続く。全179市町村のうち平均変動率が下落したのは住宅地が151自治体、商業地は134自治体と圧倒的多数を占めている。住宅地の下落率で道内ワースト10位はすべて空知地方の自治体が占めた。全国ワースト10に住宅地で道内7地点、商業地で6地点が入った。
工業地は0.7%の上昇で、27年ぶりに上昇に転じた。札幌市と新千歳空港に近く利便性の高い北広島市が14.8%上昇してけん引した。
(荒川信一)