中国5県基準地価、商業地28年ぶり上昇

2019/9/19 16:50
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中国地方の地価が上昇基調を強めている。中国5県が19日発表した2019年の基準地価(7月1日時点)によると、5県の商業地の平均地価は1991年以来28年ぶりに上昇に転じた。広島県や岡山県中心部での再開発が追い風となったほか、割安感のある土地の取引が活況だった。低金利による需要増を背景に各県で住宅地の地価上昇も目立ち、5県の住宅地の下落幅は前年に比べ縮小した。

広島県で商業地の地価が最も上昇したのは広島市中区幟町のOrico広島ビル

岡山県の商業地で最高価格・最大上昇率地点だった、JR岡山駅近くの岡山市北区錦町の「両備ビル」(中央)

全国最大の下落率となった岡山県倉敷市真備町地区の商業地。20年1月下旬に薬局が開業する予定だ。

中国地方の商業地の平均地価の上昇率は0.1%(前年は0.1%下落)で、28年ぶりに上昇に転じた。住宅地は0.7%の下落となったが、前年(0.8%下落)と比べ下落幅は縮小。全用途での上昇地点数は5県合計で404だった。各県の調査地点数に占める「上昇」地点の比率はいずれも前年と比べ高まった。

商業地の上昇をけん引したのは広島県と岡山県だ。広島県の商業地の上昇率は1.7%と、4年連続でプラスとなった。上昇率も前年の1.3%から拡大。上昇率が最も高かったのは、広島電鉄の銀山町電停前のオフィスビルで16.6%。向かいには、もみじ銀行本店がある。

不動産鑑定士の中村真二氏は「広島県内では1坪(約3.3平方メートル)当たりの単価が1000万円を超えると、取引が少なくなる傾向がある」と話す。最高上昇地点となった幟町などを含め、1坪当たり単価に割安感がある土地の取引が活況だったことが全体の底上げにつながった。インバウンド(訪日外国人)の増加を背景に、ビジネスホテルの建設地を探す事業者も目立ったという。

岡山県の商業地は0.1%の下落となったものの、下落幅は前年から縮小した。岡山市の商業地は2.1%上昇と、前年から上昇幅が拡大。JR岡山駅周辺をはじめとした中心部でのビジネスホテルやマンションの建設ラッシュが活況な取引をけん引した。県第2の都市の倉敷市でも、JR倉敷駅南側でマンションやホテルの建設へ再開発事業が始動したことが寄与した。

住宅地の下落率も改善しつつある。島根県の住宅地は1.2%の下落と、前年より下落幅が縮小。7地点が上昇するなど、17年ぶりに上昇地点があった。不動産鑑定士の竹内義和氏は「低金利が追い風で、需要が供給を上回っている。消費増税前の不動産業者による売り込みも功を奏しているようだ」と分析する。

鳥取県では米子市の住宅地が0.5%上昇となった。不動産鑑定士の村上保雄氏は「鳥取市と比べて単価が低く、戸建てなどの需要が増えている」と話した。山口県では和木町や下松市など4市町の住宅地が上昇した。住宅需要が堅調な下松市は2年連続で、和木町と宇部市が98年以来21年ぶり、防府市は22年ぶりのプラスとなった。

豪雨被災地は下落目立つ

西日本豪雨で浸水被害を受けた広島県三原市や岡山県倉敷市真備町地区では、地価の下落が目立った。真備町地区では住宅地が16.1%下落、商業地が15.5%下落と共に全国最大の下げ幅となった。

不動産鑑定士の日笠常信氏は「被災範囲が広く、住民の1割が地区外に転出した点が大きい」と指摘。大工が不足するなどして、住宅再建が進んでいない点もネックとなっている。

風評被害による需要減も続いたが、広島県や岡山県内の他の被災地域では大部分が豪雨前の取引水準まで回復しつつある。ただ、高齢化や人口減少に伴う地価の下落も進んでおり、都市部との二極化はさらに進行しそうだ。

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