アートで誘客、移住者も増加 直島で2年連続地価上昇

2019/9/19 16:50 (2019/9/20 23:15更新)
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直島町の地価の上昇地点の近くに瀬戸芸の作品があり、観光客が行き交う(右側の建物が瀬戸芸の作品、直島銭湯「I●(ハートマーク)湯」)

直島町の地価の上昇地点の近くに瀬戸芸の作品があり、観光客が行き交う(右側の建物が瀬戸芸の作品、直島銭湯「I●(ハートマーク)湯」)

瀬戸内海にある「アートの聖地」と呼ばれる直島の地価が2年連続で上昇した。香川県が19日発表した2019年の基準地価(7月1日時点)によると直島町の全用途平均は1.3%上昇(18年比0.4ポイント増)した。現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭(瀬戸芸)の主要会場として注目度が高く、観光客や移住者の増加などにより土地の需給が逼迫している。

直島で今夏、賃貸住宅に空きが出た。8月上旬に内見が可能になると、すぐに見学の申し込みが寄せられ、新たな入居者が決まった。人口が約3100人の小さな町なのに、借り手はたくさんいる。

直島町の住宅地の上昇率は1.4%で、前年を0.5ポイント上回る。高松市の住宅地の伸び率0.3%(0.1ポイント増)よりも大きい上昇率で、県内17市町の中でトップ。直島で唯一の不動産業を営む直島不動産の山岸正明代表は「移住希望者が増え、需要に供給が追いついていない」と現状を説明する。

地価上昇の背景の一つが、アートによる地域振興だ。直島町観光協会によると、主要施設の合計で1990年に約1万人だった観光客数は、安藤忠雄氏が設計した地中美術館の開館や瀬戸芸の開催などにより、18年には50万人を超す観光地となった。

こうした観光客らが島の魅力に引き寄せられ、移住者も増えた。香川県によると18年度は前年度比16%増の92人が移住した。観光客の増加に伴う簡易宿所や飲食店に加え、移住者による住まい探しもあわさって土地の需要が高まっている。

「土地や空き家を持つ島民と、移住希望者をつなぐプラットフォームができたことも大きい」。山岸代表が地域おこし協力隊として活動していた15年、空き家バンクを備えた移住支援サイト「直島カラーズ」ができた。

移住希望者が不動産を探すハードルは下がったが、空き家や土地の供給量が少ないという課題が浮上。もともと直島は住宅としての適地が少ない上に、移住者が増える前は言い値で取引されてきた習慣があり、適正価格での売却について島民の理解を得るのが難しい時もあるという。山岸代表は「直島が好きになって、暮らしたいと思った人たちを、少しでも受け入れられるように、物件の掘り起こしを進めていく」と力を込める。

直島を原点とする香川の「アート県」としての取り組みは、インバウンド(訪日外国人)を含む観光客の増加につながり、宿泊施設や飲食店などへの投資を活発化させている。高松市の商業地は0.8%増と上昇率は0.2ポイント上がり、2年連続で値上がりした。香川県全体で見ると18年まで27年連続で下落していた商業地が、今年は下げ止まった。

一方、直島町と同様に瀬戸芸の会場である小豆島町、土庄町の全用途はそれぞれ1.6%、1.4%の下落で、下落率は香川県内市町の中でワースト1位、2位。小豆島は瀬戸内海に浮かぶ離島の中で、淡路島に次ぐ大きな島で、直島と比べると瀬戸芸の効果が波及しにくい。不動産鑑定士の鈴木祐司氏は「高齢化や人口減の影響が、観光客の増加を打ち消している」と話す。

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