福岡の基準地価2.3%上昇、沖縄 観光好調7.9%
2019年九州・沖縄

2019/9/19 16:55
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九州・沖縄8県の2019年の基準地価(7月1日時点)は、福岡県が全体で前年比平均2.3%上昇した。天神などの再開発需要が高まり、4年連続のプラスとなった。沖縄県は観光客の増加を追い風に、全体で7.9%プラスと高い伸びを示した。下落が続いている佐賀県や大分県、宮崎県、鹿児島県の商業地も下げ止まりつつある。

【福岡】

福岡県全体の伸び率は全国4位で、前年と比較できる基準地点の5割以上で上昇。福岡市は住宅地が5.3%、商業地は12.8%の上昇だった。

住宅地価格でトップだった地点がある西新7丁目(福岡市早良区)

住宅地価格でトップだった地点がある西新7丁目(福岡市早良区)

住宅地では近郊の春日市や大野城市などの方が上昇率が高かった。不動産鑑定士の井上真輔氏は「近郊の割安な地域に需要が波及している」と分析する。

最も地価が高かった住宅地の地点は福岡市早良区西新の1平方メートル当たり37万7千円。文教地区で中心部に交通アクセスが良く、8.3%で前年の伸び率を上回った。商業地は福岡市中央区天神の「天神木村家ビル」の770万円。市の再開発プロジェクト「天神ビッグバン」への期待が高い。

北九州市は住宅地は0.4%、商業地は1.4%上昇。JR小倉駅の商業施設のリニューアルなどが追い風となった。

【佐賀】

佐賀県は住宅地が21年連続、商業地も26年連続で下落した。ただ下落幅は7年連続で縮小した。

住宅地は0.4%の下落だった。基山町や吉野ケ里町、鳥栖市など福岡県に近い県東部で上昇したが、有田町や唐津市などは下落した。

商業地は0.1%の下落。佐賀市、みやき町、鳥栖市などで上昇したが、太良町、嬉野市、玄海町などで下落した。「東高西低」の傾向が続く。

【大分】

大分県は住宅地が0.1%と21年ぶりに上昇した。大分市が3年連続で上昇し、インバウンド(訪日外国人)が増えた別府市は0.3ポイント改善し、2年連続上昇した。津久見市や日出町も上昇を維持した。

不動産鑑定士の坂本圭氏は「低金利と、割安感が出てきた大分駅近隣地域での不動産購入が目立つ」と話す。臼杵市や竹田市は下落率が拡大しており、都市部と農村部の格差拡大傾向が続く。

商業地は28年連続で下落したが、下落幅は縮小。大規模ホテルへの投資が相次ぐ別府市が1.9%の上昇と、変動率では1.3%上昇だった大分市を上回った。

【長崎】

長崎県は住宅地が下落したが下落率は0.2ポイント縮小した。21年連続の下落だが、幅の縮小は続いている。商業地は26年続いた下落傾向に歯止めがかかり横ばいとなった。いずれも長崎市や大村市が上昇したが、離島などは下落している。

長崎市は住宅地が0.2%と22年ぶりに上昇に転じた。斜面地の多い市内で平たんな市街中心部の需要が好調。商業地は4.8%上昇した。県庁移転や新幹線開業で長崎駅周辺の再開発期待が高まっている。

離島は住宅地と商業地はともに厳しい。下落率最大の地点は五島市内にあり、五島市と新上五島町は下落幅が拡大した。

【熊本】

熊本県の住宅地は0.1%上昇し、横ばいだった前年からプラスに転じた。熊本地震からの復旧・復興需要で上昇地域が広がった。ただ45市町村のうち33が下落。熊本県不動産鑑定士協会は「上昇地域と下落地域が二極化している」と話す。

熊本市の住宅地は5区全体で1.3%(前年は1.2%)と6年連続で上昇した。特に中央区の上昇の寄与が大きかった。このほか大津町が4.6%、菊陽町が2.1%、嘉島町が2.4%上昇した。いずれも企業立地が進み、大型店進出などによる利便性向上が若年世代を呼び寄せている。大津町は開発分譲が活発だが、県不動産鑑定士協会は「供給不足の状態」とみている。

商業地は1.7%と3年連続で上昇した。復興需要が落ち着いてきたが、「土地需要は依然として底堅い」(同)。

【宮崎】

宮崎県の住宅地は20年連続、商業地は28年連続で下落したが、下落率はともに前年より縮小した。上昇傾向にある住宅地は前年と同様、市街地に近く利便性の高いことや、津波のリスクに備えて高台にあることなどが特徴。前年にプラスとなった地点を中心に周辺にも広がってきたという。

商業地は宮崎市中心部など6地点が上昇した。JR宮崎駅前の再開発が進んでいることもあり、不動産鑑定士の上村芳朗氏は「景気回復に加え、低金利効果で土地取引が出てきた」とみている。一方、人口減や高齢化の影響で中山間地は下落率の高い地点が目立ち、二極化が進む。

【鹿児島】

鹿児島県では住宅地が22年連続、商業地が28年連続で下落したが、下落幅はいずれも縮小傾向が続いている。上昇率上位は住宅地、商業地とも鹿児島市内の地点で占められ、鹿児島市は住宅地が21年ぶりに上昇に転じ、商業地も3年連続の上昇を記録した。

鹿児島市では鹿児島中央駅周辺や中心市街地の天文館地区の再開発が進展。地価が下げ止まってきたことで、様子見をしていた層が購入する動きを見せている。不動産鑑定士の大吉修郎氏は「マンションの坪単価当たりの売り出し価格は九州でも最高水準になっているが、買いが入るため、マンション業者も強気で土地を購入している」と指摘する。

一方、鹿児島市以外の地域の多くは「少子高齢化が進んでいることもあり、上昇に転じる兆しが見当たらない」。

【沖縄】

沖縄県は商業地が6年連続で上昇し、上昇率は4.7ポイント拡大して12%となった。過去最大の上昇率で、9年ぶりに全国首位となった。那覇市は平均25.2%上昇し、読谷村、北谷町など人気観光地も2桁伸びた。地点別では那覇市の繁華街で全国2位となる上昇率50.3%を記録した。

観光客と人口増で県内景気は好調で、大型商業施設やホテルの開業が相次ぐ。不動産鑑定士の浜元毅氏は「マンションやホテル建設などで県外資本による取引が増えた。県内資本との競合で土地価格がつり上がっている」と指摘する。

住宅地も6.3%上昇し伸び率が拡大。全国1位だった。住宅地は那覇市平均が14.8%上昇した。全41市町村のうち2桁伸びたのは那覇含め6市町村あった。18年は1町のみで、価格上昇は県内全体に広がっている。

雇用情勢の改善や低金利などが住宅需要につながっている。高騰した那覇中心部に手を出しづらくなった消費者が、割安な周辺部に土地を買い求める傾向が続いている。

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