大阪市内、訪日客+オフィスで急伸 関西の基準地価
商業地、2地点で26年ぶり2000万円台乗せ

2019/9/19 16:50
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関西の商業地で最高地点の大阪・ミナミのビル

関西の商業地で最高地点の大阪・ミナミのビル

2019年の基準地価(7月1日時点)は商業地で大阪市内の上昇が際立ち、関西の上昇率トップ10地点のうち8地点を占めた。関西の最高価格地点は繁華街ミナミの商業ビルで、2位となったキタのオフィスビルと合わせ、同市内で26年ぶりとなる1平方メートルあたり2000万円以上となった。インバウンド(訪日外国人)の勢いと旺盛なオフィス需要を反映した。

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観光客らでにぎわう道頓堀の商業ビル。住友商事が今年4月に米投資ファンドから取得し「住友商事心斎橋ビル」となった。購入額は約208億円とみられる。地価は45.2%上昇の2440万円。18年に続き関西の最高価格の地点となった。上昇率は関西1位で、全国でも3位だ。

インバウンドを当て込んだドラッグストアや飲食店の旺盛な出店が商業地としての魅力を高めた。不動産サービスのジョーンズラングラサール(JLL)関西支社は「住商などの投資が大きく、大阪市内でのミナミへの投資割合は18年上期の33%から19年上期は44%に上昇した」とみる。

グランフロント大阪(大阪市北区)

グランフロント大阪(大阪市北区)

関西で2番目に高いのは大阪駅前の「グランフロント大阪南館」の2170万円。上昇率は34.0%だった。17年は関西の最高価格だったが、18年に現・住友商事心斎橋ビルに抜かれて2位となった。1位との価格差は18年の1平方メートルあたり60万円から同270万円に拡大した。

大阪市の商業地が2000万円台となったのは1993年の梅田のナビオ阪急(現・HEPナビオ)以来。同市のピークだった90年と91年の3600万円の6割程度まで回復したことになる。

大阪市平均で13.1%上昇と上昇幅は4.7ポイント拡大した。キタのオフィス需要が逼迫し、上昇率の高い地点は新大阪駅など周辺にも広がる。

不動産鑑定士の真里谷和美氏は「全体にピークに近い水準に来ているのではないか。商業地、住宅地ともに拡大傾向が続くかどうか見極める必要がある」と指摘する。

ミナミの場合、道頓堀付近のドラッグストアの賃料は東京都内を上回るところもあり、商業ビルの収益性が伸びる余地は減っているからだ。韓国からの旅行者の急減など国際情勢を反映したリスクや世界景気、為替動向次第ではインバウンドに影響する可能性もある。

一方、キタを中心とするオフィスは需給が逼迫する。「梅田地区の空室率は8月まで6カ月連続で1%台とバブル期以来の空室不足。22年以降、新規のオフィスビル供給が始まるまで賃料上昇などの状況は続くだろう」(三鬼商事大阪支店の小畑大太氏)。真里谷氏は「先々の方向性としてオフィス需要が旺盛なキタとミナミの再逆転もありうる」と見る。

インバウンドで賑わう祇園南が近い八坂神社前の参道は飲食など出店需要が強い(17日、京都市東山区)

インバウンドで賑わう祇園南が近い八坂神社前の参道は飲食など出店需要が強い(17日、京都市東山区)

関西の上昇率上位10地点で大阪府以外で唯一入ったのが京都市の八坂神社近くのお香の専門店「豊田愛山堂」(東山区)。上昇率は41.9%と関西3位、全国6位だ。

花街文化が楽しめる祇園にあり、訪日外国人客が集中する地域にあたる。参道にあたる四条通には歩きながら楽しめる抹茶飲料やソフトクリーム、お土産物店が立ち並ぶ。東山区の上昇率は22.3%と前年比6.6ポイント高まった。

京都市全体では11.5%上昇と上げ幅が1.0ポイント縮小した。不動産鑑定士の村山健一氏は「宿泊施設の新設ラッシュは一巡し、足元では競争力の劣る施設の単価が下がっている」と指摘する。

神戸市の商業地は5.5%の上昇で、7年連続で上昇した。中心部の中央区は11.1%の上昇。JR三ノ宮駅近くでのバスターミナルの整備、ホテルを併設した大型商業ビルの新設、ウオーターフロントの再整備といった再開発への期待感が背景にありそうだ。

■2府4県の動向 住宅地、阪神間で上昇拡大

【大阪】商業地は7年連続、住宅地は2年連続でいずれも上昇した。住宅地は湾岸部の大阪市此花区と大正区がいずれも08年以来のプラスになり、同市内は区平均で下落がなくなった。

【京都】商業地は6年連続で上昇したが、上昇幅は縮小した。住宅地は府平均で横ばいから上昇に転じた。住宅地は京都市の中心部で高い上昇率となった。長岡京市なども上昇が続く。

【兵庫】商業地は3年連続で上昇し、住宅地は11年連続の下落。住宅地では阪神間の芦屋、伊丹、宝塚各市などで上昇幅が拡大した。神戸市より西でも、子育て施策の充実ぶりを売りにする明石市で住宅需要が増加している。

【奈良】商業地は3年連続で上昇、住宅地は11年連続で下落。商業地は奈良市でインバウンドの増加を背景に上昇した。住宅地は大阪への通勤圏の生駒市などで上昇が続く。

【滋賀】住宅地は11年連続で下落、商業地は6年連続で上昇。商業地では大津と草津、栗東、野洲、守山、近江八幡の6市が上昇した。住宅地は草津と守山、野洲の3市が上昇だった。

【和歌山】商業地は28年連続、住宅地は29年連続の下落。商業地では和歌山市の8地点で上昇した。紀南地方の住宅地では田辺市で2地点、白浜町で1地点、串本町の2地点で上昇した。県は「津波被害のリスクが懸念される地域では高台の住宅地で上昇がみられる」としている。

■工業地上昇率 京都府が全国2番目

工業地の上昇が目立ったのが京都府。平均で7.9%上昇し、沖縄に次いで2番目に高い。全国工業地の上昇率上位10地点に京都府南部の4地点が入った。2023年度の新名神高速道路の全線開通で関西や東海との交通の便がよくなることを見込み、物流の拠点の進出が進んだためだ。

上昇率が高かったのは久御山町の地点の20.8%が全国2位。宇治田原町の地点は全国4位の15.2%だった。

奈良県の上昇率は3.8%と全国3位。災害リスクが低く交通アクセスが良い内陸型工業団地の人気が高まったという。

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