「景気減速なら追加緩和」 FRB議長、市場に配慮

貿易摩擦
2019/9/19 7:59
保存
共有
印刷
その他

18日、FOMC後に記者会見するパウエルFRB議長=AP

18日、FOMC後に記者会見するパウエルFRB議長=AP

【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は18日の記者会見で「景気が減速すれば、利下げ継続が適切だ」とさらなる追加緩和の可能性を示唆した。ただ、政策を決める米連邦公開市場委員会(FOMC)は17人の参加者のうち、2019年末までの追加利下げを見込むのは7人だけ。トランプ大統領は「根性なし!」と批判し、金融緩和の圧力を強めている。

0.25%の利下げを決めた18日のFOMCでは、10人の投票メンバーのうち3人が反対票を投じた。カンザスシティー連銀のジョージ総裁とボストン連銀のローゼングレン総裁は、7月の前回会合に続いて利下げに反対。セントルイス連銀のブラード総裁は0.5%の利下げを求め、執行部の0.25%案に反対した。FRB内は金利据え置きから大幅利下げまで、政策判断が分断している。

19年中の政策シナリオも、会合参加者17人の意見が割れている。7人が19年末までにさらに1回の追加利下げを見込んだが、5人は現状維持を予測し、ほかの5人は「2.00~2.25%が適切」と事実上の利上げを要求する。パウエル議長ら執行部は追加利下げに積極的とみられるが、残る10人を金融緩和路線に引き込むのは簡単ではない。

利下げ派は貿易戦争で悪化する企業心理と市場心理を懸念する。4~6月期には設備投資が3年ぶりに前期比マイナスに転落。8月には製造業の景況感指数が急落して、好不況の境目である50を下回った。パウエル議長は18日の記者会見で「貿易政策を巡る不確実性が、米国の投資や輸出に重くのしかかっている」と強く不安視した。

追加利下げに慎重な10人は、雇用や消費の底堅さに自信を深めている。失業率はおよそ半世紀ぶりという低水準を保っており、8月の全米の小売売上高は前年同月比4.1%も増加した。パウエル議長も「堅調な家計支出がけん引して、米経済は良好な状態が続いている」と指摘した。

7月末に10年半ぶりに利下げを決断したFRBだが、緩和路線に早くも足踏み感をにじませる。いらだちを強めるのはトランプ大統領だ。

大幅な利下げを求める同氏は18日、ツイッターで「ジェイ・パウエルとFRBはまた失敗した。根性も分別も先見性もない!」とパウエル議長を呼び捨てにしながら手厳しく批判した。トランプ氏が自ら仕掛けた貿易戦争で景気や株価が弱含めば、20年の大統領選の大きな逆風となる。FRBに対する政権の圧力は、一段と強まる可能性がある。

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]