米政権、独自の排ガス規制を認めず 加州と対立激化

2019/9/19 5:01
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【ヒューストン=中山修志】トランプ米大統領は18日、西部カリフォルニア州が自動車メーカーに求めている独自の環境規制を差し止めると表明した。連邦政府が決めた規制緩和に従うよう求める。同州は米政権を提訴する構えで、自動車業界が求めてきた全米での規制の統一に時間がかかる可能性がある。

トランプ氏はこれまで加州に認めてきた独自規制の特例を廃止すると表明。全州が連邦規制を導入することで「環境に優しい車への買い替えが進み、生産が増えて雇用も生まれる」と主張した。米環境保護局(EPA)が週内にも新たな基準を発表する。

カリフォルニア州大気資源局(CARB)のニコルズ局長は18日、記者団にトランプ政権を提訴する方針を示した。訴訟に発展すれば決着に数年かかる可能性がある。

自動車メーカーはトランプ政権に対し、オバマ前政権が導入した燃費基準が厳し過ぎるとして緩和を要請してきた。トランプ政権は2018年8月に燃費基準の大幅な緩和方針を発表。だが、環境保護に熱心な加州は独自に厳格な規制を続ける方針を示し、他の13州も同調した。連邦政府と加州の協議は平行線のまま今年2月に打ち切られた。

フォード・モーターやホンダなど日欧米のメーカー4社は従来規制とトランプ政権の緩和ルールの中間となる自主基準を策定し、7月に加州の承認を取り付けた。4社と加州は中間案を全米の統一基準とするよう呼びかけたが、トランプ氏は自身の規制緩和に逆行する動きと見なし「フォードの幹部は愚かだ」と名指しで批判した。

加州などが準拠するオバマ政権の燃費規制は、1ガロン当たりの走行距離を25年までにメーカー平均で54.5マイルまで延ばすよう義務付けている。低燃費技術を得意とする日本車メーカーにとっても厳しい内容で、トヨタ自動車が米国で販売する車を全てハイブリッド車(HV)の「プリウス」にしても届かないレベルだ。

トランプ氏は加州基準を撤廃することで、次期大統領選での自動車業界の支持につなげたい考え。だが、業界の受け止めは微妙だ。米自動車工業会は18日「現実的な統一基準を支持する」と従来通りのコメントを出した。日系メーカー幹部は「トランプ政権が極端な規制緩和を推し進めようとしたことで、州との折り合いがつかなくなった」と事態の長期化を懸念する。

トランプ政権の規制緩和が全米に適用されれば、燃費性能で劣る米メーカーにはより有利に働く。一方、欧州や日本、中国の環境規制強化の流れに逆行し、グローバル競争で取り残される可能性がある。

トランプ氏は地球温暖化に懐疑的で、オバマ前政権下で定められた環境規制を次々と緩和している。野党・民主党の地盤でリベラルな市民が多い加州とは環境政策のほか、移民問題などでたびたび対立している。

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