利下げは「リスクへの保険」 FRB議長会見
【ニューヨーク=後藤達也】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は18日、米連邦公開市場委員会(FOMC)後に記者会見し、同日決めた0.25%の利下げについて「米景気見通しを支え、リスクへの保険になる」と説明した。米中貿易摩擦への懸念を示し、「景気が悪化すれば、追加の利下げも適切になりうる」と述べた。ただ景気は好ましい状況だと判断しており、「現時点ではそうしたこと(連続利下げ)を考えていない」とも語った。
米景気の現状については良好だとし、先行きの基本シナリオも「好ましい」と従来の評価を据え置いた。ただ、地政学リスクは多くあるとした。貿易摩擦については「議会と政府の仕事であり、FRBの仕事ではない」としつつも、「設備投資や輸出に影響を与えている」との懸念を示した。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る動きにも言及した。
今週に入り、銀行間の金利が急上昇し、ニューヨーク連銀は17日と18日の臨時の資金供給を実施した。パウエル議長は「市場機能にとって重要な問題だが、経済や金融政策運営には影響を与えない」と述べた。超過準備にかける金利を従来より0.3%引き下げるなど円滑に金利を誘導できるよう技術的な調整をし、「金利は誘導目標(1.75~2.00%)の範囲内に戻っていくとみている」と述べた。
FRBの資産について、「事前に考えていたよりも早く、再び拡大する可能性はありうる」との考えを示した。今週の短期金利の急上昇について、市場では「FRBの資産圧縮で銀行の余裕資金が減ってきたことが背景にある」との見方がある。
将来、マイナス金利政策をとりうるかとの問いには「マイナス金利政策を採用を検討することは考えていない」と述べた。
トランプ米大統領がFRBに利下げを要求していることには「私たちは政治の意向にかかわらず金融政策を進めていく」との考えを改めて示した。