個人向け5G始動 ドコモ、ラグビーW杯で試験

2019/9/18 23:00
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NTTドコモは18日、ラグビーワールドカップ(W杯)の試合会場などで次世代通信規格「5G」の試験サービスを20日に始めると発表した。ソフトバンクも音楽イベントなどで導入しており、個人向け5Gの試験提供が本格的に始まる。ただ、いずれも現行の通信サービスとの違いが体感しにくく、5Gならではの「本命」コンテンツは不在だ。先行する法人向けサービスに比べて普及には課題が残る。

NTTドコモが発表した5G対応スマートフォン(18日、東京都中央区)

NTTドコモが発表した5G対応スマートフォン(18日、東京都中央区)

18日、ドコモが都内で開いた5Gのプレサービス発表会。会場に設置された5G対応端末の画面には4つの映像が表示できる。例えば、トライの場面ではゴール側や選手のアップ、運動量などを示す映像が流れ、様々な観戦の楽しみ方ができる。

ドコモはサービス提供にあわせてラグビーW杯の全12会場のうち8会場に基地局を設置し、5G端末が体験できるコーナーを設ける。パブリックビューイング会場では7台のカメラと国際映像の計8つのアングルから自分で自由に切り替えて観戦を楽しめる。吉沢和弘社長は「9月20日は実質的にドコモが5Gを開始する日だ」と述べた。

2020年春に商用サービスが始まる5Gは情報を伝える実効速度が最大で4Gの100倍になる高速性に加え、低遅延といった特長を持つ。これを生かし大人数でのゲーム対戦やスポーツ観戦などでの用途が見込まれている。ドコモは21年6月末までに1万局の5G基地局の設置を目指す。

5Gを利用したラグビーの試合観戦サービスを体験する俳優の佐藤健さん(左)とNTTドコモの吉沢和弘社長(18日、東京都中央区)

5Gを利用したラグビーの試合観戦サービスを体験する俳優の佐藤健さん(左)とNTTドコモの吉沢和弘社長(18日、東京都中央区)

5G時代の主力コンテンツの候補となるのがAR(拡張現実)やVR(仮想現実)などを使ったサービスだ。

「このゴーグルを着けると壁から敵が出てきます」。ドコモの担当者に言われたようにゴーグルを着用すると現実の壁にデジタル映像が投映される。壁の一部に穴が開き、そこから次々と敵が飛び出してきた。ドコモが準備するMR(複合現実)技術で現実の世界に映像を重ね合わせ、家の中もゲームの舞台となる。

ソフトバンクは7月末、音楽イベント「フジロックフェスティバル」に5Gの基地局を置き、ライブ映像を配信した。ヘッドセットを装着すると仮想空間のライブ会場が映し出される仕組みだ。KDDIは横浜DeNAベイスターズと契約し、横浜スタジアム(横浜市)で20年春にも観戦サービスを始める。

ただVRなどを楽しむにはスマホなどに加え、専用ゴーグルが必要となる。調査会社IDCジャパン(東京・千代田)の菅原啓氏は「端末のデータ処理やバッテリー容量など克服すべき課題は多い」と話す。IDCジャパンは5G携帯電話の出荷台数は23年に約870万台になると予測する。携帯電話市場でのシェアは約28%にとどまり、4年後も主流は4Gだ。

先行する海外でも普及はこれからだ。華為技術(ファーウェイ)などが中国で5G端末を発売したが、本格的な普及は23年ごろとみられている。米国でも米ベライゾン・コミュニケーションズが4月にシカゴなどで5Gサービスを始めたが、19年中は全米30都市にとどまる見通しだ。

一方で法人向けはあらゆるモノがネットにつながる「IoT」など産業のデジタル化の基盤となることが期待され、導入への動きが活発だ。ドコモはファナック日立製作所と製造現場で5Gを活用する実験を始めた。

5Gは基地局で多くの機器と情報をやり取りできる「多数同時接続」という特長を持つ。1平方キロメートルの中で通信できる機器は約100万台で4Gの10倍超。多数のセンサーを使うIoTには欠かせない。ドコモが他業種との連携に向けて立ち上げたプログラムの参加企業・自治体は3千超と関心が高まっている。

5G端末は10万円超の高価格帯が中心となる見込み。利用料は未定だが、4Gの通信大容量プラン(7千円前後)がベースになる可能性がある。5千円前後とされる現在の平均月額料金に比べると、上昇する可能性があり、負担軽減も課題となる。(今井拓也)

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