外交・安保支える「ポスト安倍」2人に聞く

2019/9/19 1:30
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11日の内閣改造で就任した茂木敏充外相と河野太郎防衛相は18日、日本経済新聞社などの取材にそれぞれ応じた。日米関係の強化や悪化している日韓関係など近隣諸国との関係、緊迫する中東情勢にどう対応するのか。「ポスト安倍」候補の2人に聞いた。

■茂木外相

――どんな外交を展開しますか。

「『包容力と力強さを兼ね備えた外交』を展開したい。多様性を尊重し日本が調整力を発揮していく。環太平洋経済連携協定(TPP11)でそうだったように様々なルール作りをはじめ日本がリーダーシップと行動力を発揮し、事に臨んでは毅然と対応をとっていく」

グループインタビューに答える茂木外相(18日、外務省)

グループインタビューに答える茂木外相(18日、外務省)

「日本外交の基軸である日米同盟をさらに強化する。北朝鮮を巡る諸懸案、中国、韓国、ロシアなどの近隣諸国外交、緊迫する中東情勢、日本が主導する経済外交、地球規模課題をあわせた6つの課題に焦点をあてる」

――韓国とは約1年間首脳会談が開かれていません。

「外相同士はじめ外交当局間の意思疎通は継続していく考えだ。韓国側に今の国際法違反の状態を一刻も早く是正するよう引き続き強く求める考えに変わりはない」

――トランプ米大統領の「米国第一主義」とどう向き合いますか。

「日米は幅広い分野で協力を進めている。国際社会が直面する主要な課題に対処していく中で米国の関与は不可欠だ。現在、在日米軍の駐留経費は日米両政府の合意に基づいて適切に分担していると考えている」

――中東で米国が提唱する「海洋安全保障イニシアチブ」への対応や地域での貢献も課題です。

「関係国とも連携しながら情報収集をして情勢を注視している。中東における日本関係船舶の航行の安全を確保するためどんな対応が効果的か、原油の安定供給の確保、米国やイランとの関係も踏まえて総合的に判断していく。中東情勢の緩和と安定化に向け引き続き日米で連携したい」

――日米貿易交渉の合意で追加関税の懸念はなくなるのでしょうか。

「日本の自動車に追加関税を課さないと、私も同席した昨年9月の日米首脳会談で安倍晋三首相からトランプ大統領に直接確認した。今回の日米貿易交渉の最終的な仕上がりの段階でも、日本の自動車への追加関税を行わないときちんと確認したい」

――大きな溝がある日ロ交渉の打開に向けどう交渉に臨みますか。

「日本政府の法的立場に変わりはない。交渉責任者のラブロフ外相と、できるだけ早く話がしてみたい」

――核・ミサイルや拉致問題で北朝鮮への対応に変わりはありませんか。

「日朝平壌宣言に基づいて拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して不幸な過去を清算し国交正常化を目指すという基本方針に変わりはない。拉致問題の解決は我が国自身が主体的に取り組むことが必要になる。安倍晋三首相は条件をつけずに金正恩(キム・ジョンウン)委員長と向き合う決意を述べている。冷静な分析の上にあらゆるチャンスを逃すことなく果敢に行動していきたい」

――「ポスト安倍」としての認知度が高まっています。次の自民党総裁選に出馬する考えはありますか。

「この数年間、少子高齢化という日本が直面する最大の課題をどう乗り越えていくか考え、教育の無償化なども一気に実現してきた。いま外相として北朝鮮問題、日本とロシアの領土問題など課題が山積する険しい新たな頂にチャレンジすることになった。その頂に立ったときにその先にどんな景色が見えているかまた楽しみにしている」

■河野防衛相

――軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄が決まった韓国とどう向き合いますか。

「外相時代は韓国の康京和(カン・ギョンファ)外相と、小渕恵三元首相と金大中元大統領が結んだ日韓パートナーシップ宣言20周年で日韓関係を新たな高みに引き上げようと準備し様々な事業を展開しようとしていた。その矢先の元徴用工を巡る判決だったので非常に残念に思っている」

グループインタビューに答える河野防衛相(18日、防衛省)

グループインタビューに答える河野防衛相(18日、防衛省)

「どこかのタイミングで韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相ともお目にかかりたい。政府間で難しい問題はあるが、北朝鮮情勢の中で日韓の連携も当然に重要になる。しっかり意思疎通をやりながら進めたい」

――中国の軍事的脅威が高まっています。

「冷戦時代、ソ連の経済はかなり孤立していた。今やアジア各国は中国との貿易額が米国より大きいのがほとんどだ。そうした中でどうしていくかは難しい現実だ。米国をはじめ価値観を共有する国々と議論していく」

――米国はファーウェイの製品の禁輸措置を進めています。

「サイバーにしろ電磁波の分野にしろ防衛省だけで対応できるわけではない。政府一丸でやらなければならない分野はこれから広がっていく」

――中東で果たすべき日本の役割や、ホルムズ海峡への自衛隊派遣についてはどうしますか。

「中東の緊張緩和で日本が果たせる役割はかなりある。日米間で様々な話し合いはできるしイランを含め中東各国から日本は信頼を得ている。様々なやりとりの橋渡しで日本が果たすべき役割は大きい。自衛隊派遣について現時点で特に何か決まっていることはない」

――国連総会では安倍晋三首相がトランプ米大統領、イランのロウハニ大統領と会談予定です。

「今まで外相同士で調整してきたことが首脳レベルで話し合いが行われる。今度の国連総会は緊張緩和に向けて大きな一歩になり得る」

――過去最大の防衛費概算要求には批判も。

「安保環境は極めて厳しい。ただ、これだけの財政状況だから、一定の制約の中でやっていかないといけない。既存の枠組みにとらわれず、リソースの配分を柔軟にやっていかないといけない」

――米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をどう進めていきますか。

「わが国の抑止力の維持、普天間の危険性の除去を考えると辺野古は非常に大事になる。できれば沖縄県をはじめ、地元のみなさんの了解をいただいてしっかりと進めたい」

――辺野古の移設工事の総設計費を示す考えはありますか。

「いろんな事情で工事が中断したり、やり方を変えないといけないということがある。日数やコストがはっきり示される段階にはない。きちんと申し上げられるようになったときにはきちんと示したい」

――地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備について防衛省の調査ミスで地元の理解が得られていません。

「再調査をしっかりやった上でゼロベースで検討する。まず再調査をしっかりやりたい」

――F2戦闘機の後継機の構想はどのようなものですか。米国と連携する考えはありますか。

「日米同盟の中で相互運用性を確保するのは当然のことだ。いま新型機に期待する様々な要件をまとめている。それがまとまった時点でいろんな議論をしたい」

――防衛相への横滑りで「ポスト安倍」として注目されています。

「防衛相という役職は国民の平和な暮らし、領土、領海、領空を守る責任がある。それをきちんと果たすのが大事なことでそれはポスト何とかとつながっているわけではない。(首相を目指すのは)どの大臣でもそのようなことだと思う」

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