イスラエル与党、過半数割れへ 首相続投に黄信号

2019/9/18 22:06
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政権発足に意欲を示した中道野党連合「青と白」のガンツ元軍参謀総長(18日)=ロイター

政権発足に意欲を示した中道野党連合「青と白」のガンツ元軍参謀総長(18日)=ロイター

支持者を前に演説する与党リクードのネタニヤフ首相(18日)=ロイター

支持者を前に演説する与党リクードのネタニヤフ首相(18日)=ロイター

【テルアビブ=飛田雅則】イスラエルで17日に投開票が実施されたやり直しの総選挙(一院制、定数120)は、現職のベンヤミン・ネタニヤフ首相(69)の支持派の議席が過半数に届かない可能性が高まった。連立協議は難航が必至で、強い指導者として君臨してきた同氏が首相を続投するかどうかは見通せない。イスラエルの政治空白が続けば、米国の中東政策にも影響が及びそうだ。

イスラエル有力紙ハーレツによると、開票率91%時点でベニー・ガンツ元軍参謀総長(60)らの中道野党連合「青と白」が32議席、ネタニヤフ氏が党首の与党リクードは31議席と、両者が第1党の座を争っている。

ネタニヤフ氏を支持する右派やユダヤ教系の4党は計55議席にとどまり、政権樹立に必要な61議席に届かず、「青と白」を軸とする中道・左派陣営も過半数には足りていない。リブリン大統領は公式な結果を待って、有力な首相候補に政権づくりを要請する。

今回の選挙は通算の首相の在任期間が約13年半と同国最長となったネタニヤフ氏の5期目を許すかどうかが最大の争点となった。汚職疑惑を抱えるネタニヤフ氏は苦戦した。

4月の総選挙では、敬虔(けいけん)なユダヤ教徒への優遇措置の撤廃を求めるリーベルマン元国防相の世俗派の極右政党「わが家イスラエル」が、宗教政党の排除を求めて連立協議から離脱。ネタニヤフ氏は政権づくりに失敗し、今回の異例のやり直し総選挙にもつれた経緯がある。

ネタニヤフ氏が政権を発足させるには「わが家」の取り込みが必要となるが、同党は引き続き宗教政党の排除を要求しており、前回の連立交渉の行き詰まりと同じ構図となる可能性がある。「わが家」のリーベルマン氏は17日「安全保障、経済ともに緊急事態にあり大連立が必要だ」と自党を含むリクードと「青と白」の連立を提案した。

ガンツ氏も選挙後「広範囲な統一政府をつくりたい」と述べた。反ネタニヤフを旗印に支持を集めたガンツ氏は選挙前からリクードと連立を組む条件として、ネタニヤフ氏の退陣を要求している。リクード側の立候補者は選挙前にネタニヤフ氏への忠誠を示す誓約書に署名しており、「ネタニヤフ氏抜き」の連立に応じることは難しい。

次期政権の行方は米国の中東政策も左右しかねない。トランプ米政権が公表予定のイスラエルとパレスチナの紛争解決に向けた新たな中東和平案は、ネタニヤフ氏の続投を前提に準備してきたからだ。イスラエルの政権樹立が遅れれば、米国の計画に狂いが生じることになる。

対パレスチナ強硬派のネタニヤフ氏に対して、ガンツ氏は対話重視の姿勢を見せてきたが、「どちらが政権をとっても、政治的には不安定な状態が続き、パレスチナ問題での譲歩は期待できない」(放送大学の高橋和夫名誉教授)との指摘もある。

ネタニヤフ氏はトランプ氏と親密な関係を築き、米国の中東戦略の一翼を担ってきた。緊迫するイラン情勢で連携が必要な局面でもあり、イスラエルで政治空白が続けば、米国の描くイラン包囲網が揺らぐ可能性もある。

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