自動運転バス、埼玉県内で相次ぎ実験 地域課題解決に期待

2019/9/18 17:39
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埼玉県内で自動運転バスの実用化に向けた動きが活発化してきた。さいたま市や熊谷市、深谷市の公道で実証実験や試乗会が相次ぎ、人口減少や運転士不足に悩む毛呂山町もかつて廃線になった路線での試験運行を予定する。一度に大人数を運べるバスの自動運行は各地域が抱える多様な課題の解決に役立つため、早期の実用化への期待が集まっている。

浦和美園駅周辺の公道で、自動運転バスが乗客を乗せて走った(さいたま市)

さいたま市では浦和美園駅周辺の公道で3日、自動運転バスの実証実験の様子が公開された。36人乗りバスの運転席にはドライバーが座ったものの、ハンドルからは手を離したまま。障害物を認識するセンサーや現在位置を確認するアンテナなどの情報をもとに、左折や車線変更をスムーズにこなした。

実験は埼玉高速鉄道(同市)と国際興業(東京・中央)などが群馬大学の協力を得て実施した。同駅周辺は宅地開発で人口流入が進む一方、埼玉スタジアムや病院の建設予定地など主要地点を結ぶ交通手段の確保が課題となっている。実験で完全自動運転の運行に向けた課題を探ると同時に、将来の地域住民の足として活用できるかも検討する。

群馬大の自動運転バスは、20日開幕のラグビーワールドカップの大会期間中にも登場する。埼玉県が同大学と連携し、熊谷ラグビー場(熊谷市)での試合日にシャトルバスの発着場から会場近くの駐車場まで約900メートルの公道を往復する。

すでに6日の日本代表の壮行試合で利用客を乗せて運行し、本番に向けた準備も整った。世界的に注目を集めるスポーツイベントで披露することで「自動運転の技術開発に関する県内企業の機運を高めたい」(県担当者)との狙いもある。

2016年から自動運転の研究を強化してきた埼玉工業大学もバスの運行に取り組んでいる。乗用車の実験で培った人工知能(AI)の技術を活用し、8月には自動運転のマイクロバスの試乗会を開いた。深谷市のキャンパスと最寄り駅を結ぶ路線で実験を重ね、20年度以降の市販を目指す。

民間企業も開発に熱を入れる。ビル清掃業のビコー(埼玉県毛呂山町)はAIで制御する業務用自動清掃ロボットの技術をバスに応用し、20年11月に毛呂山町の公道で試験運行を始める。東大発スタートアップの先進モビリティ(東京・目黒)との共同開発で、現在は危険察知の機能やカメラの解像度などの向上を急いでいる。

試験運行の経路は東武越生線武州長瀬駅から住宅街の目白台までの片道約3キロメートル。かつて民間のバス事業者が利用客の減少を理由に廃線にした路線だ。人口減少が深刻な毛呂山町は最先端技術を住民サービス向上に活用するスマートシティの実現を目指しており、運転士不足などの課題解決にもつながる今回の取り組みに期待を寄せている。

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