FRBに新たな難題 金利誘導に連日の非常手段

2019/9/18 11:47
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FRBは金利誘導で難題に直面している(ニューヨーク連銀の本部)=ロイター

FRBは金利誘導で難題に直面している(ニューヨーク連銀の本部)=ロイター

【ニューヨーク=後藤達也】米連邦準備理事会(FRB)が金利誘導で難題に直面している。量的緩和を縮小してきた影響で米銀行内の余裕資金が少なくなり、短期金利が急上昇しやすくなっているためだ。金融調節を担当するニューヨーク連銀は連日、非常手段を活用して金利を制御した。市場では金利の円滑な誘導のために、将来的に量的緩和を再開するとの思惑も一部で浮上している。

17日朝、ニューヨーク連銀は「レポ」と呼ばれる国債などを担保にした緊急の金融調節を実施した。民間銀行から531億ドル(約5兆7千億円)分の担保が持ち込まれ、資金を供給した。

きっかけは短期金利の異変だ。レポ金利は一時的に10%まで急上昇する場面があった。過去との比較データはないが、平時ではみられない異常な取引を受けて、ニューヨーク連銀は2008年以来約11年ぶりの緊急対応を迫られた。同連銀は18日にも同じ金融調節を実施すると17日夕に通知した。

FRBは銀行間の金利「2.00~2.25%」を誘導目標としているが、今週に入って3%を上回る取引が頻発した。15日には企業による法人税の納付や国債の発行が重なり、銀行内の短期資金が減ったことが影響した。

短期金利市場は金融機関同士が資金を融通する際の要を担う。中銀にとって金融政策の効果を発揮させる重要な経路だ。

今回の短期金利の急上昇には、コンピューターによる自動取引(アルゴリズム取引)は影響していない。短期金利市場は金融機関が相対で資金をやり取りして、金利の水準が決まる。株式市場では超高速売買を繰り返す自動取引で株価が乱高下するケースが増えているが、短期金利は市場の構造が根本で異なっている。

短期金利が振れやすくなっているのは構造的な要因もある。FRBは2年ほど前から保有資産の縮小を進めた結果、米銀行のシステム内に残る資金も減ってきた。銀行がFRBに預ける「超過準備」という余剰資金は17年末に2兆1千億ドル強あったが、今年8月には1兆4千億ドル弱に減った。

この影響でバッファーが薄くなり、小さなきっかけでも金利が急上昇しやすくなったとの指摘がある。金利の上げ下げから量的緩和まで金融政策が複雑化し、FRB自体も金利の制御に苦心する構図になっている。

FRBは17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決めるとの観測は強い。だが、利下げしても金利をうまく誘導できない場面が今後増える可能性がある。市場では「金利の円滑な操作のため、量的緩和を再開する可能性がある」(金利トレーダー)との見方も浮上している。17日の米国債市場ではこうした思惑から10年物国債の利回りが低下(価格は上昇)する場面があった。

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