長距離バス路線維持に奮闘 福島、「沿岸部活性化に」

2019/9/18 11:24
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東京電力福島第1原子力発電所事故で多くが避難区域となった福島県沿岸部の活性化に貢献したいと、赤字覚悟で同県南相馬市と東京都などを結ぶ長距離バス路線の維持に奮闘しているバス会社がある。客足は伸びず前途は多難だが、社長は「第1原発に近い相双地区(県東部12市町村)の孤立を避けたい。地元のバス会社がやらずに誰がやるんだ」と話す。

福島県南相馬市で長距離バス路線の維持に奮闘する、東北アクセスの遠藤竜太郎社長(7月)=共同

福島県南相馬市で長距離バス路線の維持に奮闘する、東北アクセスの遠藤竜太郎社長(7月)=共同

この会社は南相馬市に本社がある東北アクセス。東日本大震災前の主な事業は貸し切りバスの運行だったが、震災の影響で約60人いた従業員は一時約20人にまで減った。

地元出身の遠藤竜太郎社長(55)が「車がない人にもたくさん相双地区に来てもらうには毎日運行するバスが必要だ」と考え、南相馬市と、仙台市や福島市を結ぶバス路線を震災直後から順次開設した。

両路線とも開設以来、赤字続き。震災で不通になっていたJR常磐線の一部区間が2016年12月に再開し、南相馬市と仙台市が列車でつながると客はさらに減った。現在は両路線の利用者はそれぞれ1日100人程度まで減り、採算ラインを大きく割っている。

会社の屋台骨を支える貸し切りバス事業は順調で、同業者からは「専念していた方が良い」とのアドバイスも受けるが「東京との交流人口を増やしたい」と7月には南相馬―東京路線も開設した。東京駅近くの停車場使用料などの負担が大きく現時点では赤字だ。

JR常磐線は来年3月末までに全線開通する予定。南相馬市と東京がつながり、バス利用客が減るのは必至だ。それでも遠藤氏は「地域活性化につなげたい。本数を減らすことはあっても廃止にはしたくない」と3路線維持に向け力を込めた。

〔共同〕

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