世界で需要縮小 8月輸出8.2%減、増税後の景気に影

2019/9/18 11:30
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世界経済の停滞を受け、輸出の低迷が続いている。財務省が18日発表した貿易統計によると、8月の日本の輸出は中国向けが6カ月連続で減少したほか、米国向けも11カ月ぶりに減少に転じた。米中という貿易戦争の当事者だけでなく、欧州や東南アジア向けの振るわなかった。日本経済は外需の支えを欠いたまま、10月の消費増税を迎えることになる。

8月の輸出は前年同月比8.2%減の6兆1409億円となり、9カ月連続で減少した。中国向け輸出が12.1%減ったほか、米国向けもマイナスに転じた。自動車や自動車部品の輸出が減った。欧州連合(EU)向けは1.3%減、東南アジア諸国連合(ASEAN)向けも9.9%減と、世界各地で需要が落ち込んでいる。

足元の世界経済はさえない。国際通貨基金(IMF)は2019年の世界の成長率は3.2%にとどまると予測する。米中の対立が長引けば、20年の成長率を0.8ポイント押し下げる可能性があるとも試算している。

中国では8月の工業生産が前年同月比4.4%増にとどまり、伸び率は2002年2月以来の低水準に下がった。主力の半導体がふるわず、新車販売は8月まで14カ月続けて前年実績を割り込んだ。国内需要の縮小が鮮明だ。中国経済の失速は東南アジアにも波及している。タイやシンガポールは相次いで19年の成長率見通しを引き下げた。

米国でも製造業を中心に先行きの不透明感が強まってきた。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の米製造業景況感指数は前月比2.1ポイント低下の49.1となり、好不況の境目である50を3年ぶりに下回った。貿易戦争が長引き、業績に下押し圧力がかかっている企業が多い。

欧州では、ドイツで4~6月期の実質成長率が前期比マイナス0.1%になった。中国向け輸出の急減で屋台骨の自動車産業に逆風が吹き、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る混乱も響いている。製造業で人員整理が続き、これまで堅調だったサービスや商業など非製造業にも景況感の悪化が広がりつつある。

外需の低迷が続くなかで、日本経済は10月の消費税率引き上げを迎える。

14年4月に税率を5%から8%に上げたときは、直前の3四半期の財貨・サービスの輸出額(名目)が前年比2桁の伸びとなるなど好調だった。増税直後の4~6月期の国内総生産(GDP)は個人消費の急減で実質ベースでマイナス成長となったが、7~9月期には底堅い外需がけん引する形でプラス成長に回帰した。

今回は4~6月期まで2四半期続けて輸出が前年を下回った。内需の柱である個人消費と設備投資が堅調で、プラス成長は保っている。だが消費者心理は8月まで11カ月連続で悪化し、増税を前に内需の景況感は曇りつつある。農林中金総合研究所の南武志氏は「増税で個人消費が悪化して景気のけん引役がなくなれば、19年度下期は景気後退に陥る懸念が高まる」とみる。

製造業では景気の先行指標である新規求人数が7月まで6カ月連続で前年同月を下回り、雇用への影響も出始めた。設備投資も製造業を中心に陰りが出ている。外需の停滞が企業業績を圧迫し、設備投資や賃金を下押しすれば、増税後の景気は停滞が長引く恐れがある。

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