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山中、三度目の正直 ラグビーW杯に万感の思い

アジアで初開催となるラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会がいよいよ20日、開幕する。この舞台に出ることを切望してきた一人が山中亮平(神戸製鋼)。31歳にして初めて迎える祭典に闘志をみなぎらせている。

W杯日本代表31人が発表された8月29日、神戸市内の神戸製鋼本社で記者会見した山中は「ほっとした気持ちと、やっとメンバーに入れてうれしい気持ちでいっぱい」と喜びを表した。

山中はパシフィック・ネーションズカップの米国戦に出場しトライを決めた(8月)=共同

「やっと」の一言に万感の思いがにじんだ。ロングキックに速くて長いパス、188センチの長身を生かした突破力もある大型SOとして、大阪・東海大仰星高(現東海大大阪仰星高)と早大で活躍。将来を嘱望されたが、神戸製鋼に入部して間もない2011年4月、使用した育毛剤から禁止薬物が検出。2年間の選手資格停止処分を受け、その年のW杯代表入りを逃した。復帰後の15年はW杯の日本代表4次候補まで入りながら、最終メンバー入りはかなわなかった。

三度目の正直で今回、代表入りを果たしたきっかけはポジション変更だった。神戸製鋼は18年、長くニュージーランド(NZ)代表で活躍した世界的SOのダン・カーターを獲得。CTBにも現オーストラリア代表のアダム・アシュリークーパーら外国出身の猛者がそろい、山中がレギュラー争いで割って入る余地は小さかった。そこへ首脳陣からもたらされたのがFBへの転向案。山中は「二つ返事で『はい』と。ポジションなんか選んでいられなかった」。

代表で活躍して「平尾さんに恩返し」

NZ代表のベン・スミスの映像を見たり、神戸製鋼の後輩の井関信介らに話を聞いたりしてFBの要諦を学んだ。当初は自身の背後へのキック処理やディフェンスでの上がり方で戸惑ったが、SO時代に磨いたスペースを見つける力も手伝ってレギュラーに定着。トップリーグ15季ぶりの優勝に貢献した。今年はスーパーラグビーのサンウルブズでも活躍し、W杯代表入りへの素地をつくっていった。

現在、日本代表ではウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ)に次ぐFB2番手の位置づけだが、「目標は(代表)メンバーに入ることでなく、試合に出て結果を出すこと」とプレーでの貢献に意欲的だ。

11年に資格停止処分を受けた際は「クビもある状態だった」という。そこで2年後の復帰への道をつくってくれたのが、当時神戸製鋼総監督の平尾誠二さんだった。「社員で残って復帰する道がある。頑張っていくか」

才能にあふれ、日本代表にも選ばれた大学時代は「ちやほやされた部分もあった」と振り返る山中だが、2年間競技から離れ、会社の仕事にも取り組む中で「謙虚になりました」。招致に尽力した日本でのW杯を見ることなく、16年に病で逝った平尾さんについて「代表で活躍する姿を見せることが恩返しだと思う」。様々な思いを胸に、夢にまで見た大舞台に臨む。

(合六謙二)

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