19歳・石川、苦しむ日本の光明 バレー女子W杯
開催中のバレーボールのワールドカップ(W杯)女子大会で、日本は15日のロシア戦、16日の韓国戦に連敗を喫した。3試合を終えて1勝2敗と目標のメダルもかすむ出だしだ。そんな厳しい戦いの中で一筋の光明となっているのが石川真佑(19、東レ)の奮闘だろう。W杯初出場のアタッカーは苦悩する日本の起爆剤となるか。

14日のドミニカ共和国戦の出番はピンチサーバーだけ。「前でコートに立てたら思いきりやりたい」と話していた。ロシア戦では序盤から劣勢に立たされ、第1セット途中でコートに立つと、思い切りのいいプレーでチームを引っ張った。
身長は173センチ、日本選手の中でも小柄な方。それでも190センチ台の大型選手がそろうロシアに対して臆することなく、左からも右からもスパイクを打ち込んだ。時には果敢にバックアタックも決め、チームの攻撃を活性化。石井優希(久光製薬)の27点に次ぐ20点で、第2、3セットを奪う原動力となった。
男子代表のエース石川祐希(パドバ)を兄に持つ。1月には東京・下北沢成徳の主将として、高校3冠を目指しながらも準決勝で敗れ「自分の力が足りなかった」と涙を流し、さらなる飛躍を誓った。その言葉通り、7月の世界ジュニア選手権を制し、若手主体で挑んだ8月のアジア選手権も韓国、タイのフル代表を破って優勝。ともに最優秀選手に選ばれた。
目覚ましい活躍に全日本の中田久美監督も「大きな大会でどこまでやれるか」とW杯代表に抜てき。フル代表に合流した後も「スパイク決定力はチームでも1、2」と高い評価を与えていた。
先発した韓国戦ではチーム最多の17得点。ただ、韓国のエース金軟景が「1試合経験したことで特徴を把握していた」と話すようにブロックに捕まる場面も多かった。石川も「コースに打っても拾われた。読まれていた」と悔しそうだった。
大会間近にチームに合流したこともあり、コンビネーションもまだ十分とはいえない。ただ、未完成な分だけ伸びしろは大きい。W杯はまだ始まったばかり。一つ一つのプレーが、来年の五輪代表入りへのアピールにもなる。
(馬場到)