イラン最高指導者、米との対話拒否 手詰まり見透かす

トランプ政権
イラン緊迫
中東・アフリカ
2019/9/17 21:34
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イラン最高指導者ハメネイ師(中)(10日、テヘラン)=AP

イラン最高指導者ハメネイ師(中)(10日、テヘラン)=AP

【ドバイ=岐部秀光】イラン最高指導者のハメネイ師は17日、「イランは政府のどのレベルにおいても米国とは対話しない」と述べ、トランプ米政権が模索するロウハニ大統領との首脳会談を認めない考えを示した。サウジアラビアの石油施設攻撃への関与で米国から批判を受けたイランは一段と対米強硬に傾く。2020年の米大統領選挙を目前に控えたトランプ政権の手詰まりを見透かし、挑発を増やしている。

ハメネイ師は「もしも米国が態度を改めて核合意へ復帰するならば、イランと他の合意当事国の協議に参加することはできるだろう」と指摘。イランに対する制裁を米国が解除した場合でも2国間の首脳会談には否定的な見方を示した。

トランプ政権は2018年5月に核合意を離脱し、対イラン制裁を相次ぎ復活させた。これによりイランの経済は大きな打撃を受けた。

ロウハニ師は9月下旬に国連総会に出席するため米ニューヨークを訪れる。この場でトランプ大統領との電撃的な首脳会談に応じる可能性も取り沙汰された。しかし、ハメネイ師の発言によって、実現の可能性は限りなく小さくなった。

世界の金融ネットワークから締め出され、頼みの原油輸出も封じられたイランは、米国の追加制裁で恐れるものがなくなった。米国の最近の制裁は、ハメネイ師やザリフ外相を制裁対象に加えるといった、実際の効果を伴わない象徴的なものばかりだ。

イランは過去の原油高で蓄積した外貨も残り、経済は米制裁への耐性を示した。対米強硬派はトランプ氏が再選を果たした場合でも、5年程度であればしのげると計算している可能性がある。

トランプ米大統領はイランがサウジ攻撃に関与したと断定されれば「臨戦態勢をとる」と強調していた(16日、ワシントン)=AP

トランプ米大統領はイランがサウジ攻撃に関与したと断定されれば「臨戦態勢をとる」と強調していた(16日、ワシントン)=AP

トランプ氏は16日、イランの関与が断定されれば報復措置をとる強硬な構えを見せる半面、「戦闘は望んでいない」と語った。政権内や米議会の対イラン強硬派に配慮しつつも、再選に向けて国民から反発を受けやすい新たな紛争を避けたい立場だ。

トランプ氏の側近は強力な対抗策を求める。米メディアによると、ポンペオ国務長官や国務省のイラン担当特別代表ブライアン・フック氏は中東での米軍の戦力増強を助言した。トランプ氏に近い与党・共和党のリンゼー・グラム上院議員は「イランが挑発を続けるならイランの石油施設への攻撃を検討すべきだ」と主張した。

トランプ氏は15日のツイッターで情報の分析結果によっては「臨戦態勢をとる」とイランをけん制した。しかし、発言にはイランとの軍事衝突を望まない本音もにじむ。16日には「例外はあるがサウジは私が新たな戦闘に巻き込まれたくないことを知っている」と指摘。「イランは取引を望んでいる」とも語った。イランへの攻撃は選挙公約にした駐留米軍の縮小・撤収に逆行する。本格的な戦争となれば再選への悪影響は避けられない。

トランプ政権下の国務省で軍事顧問を務めたアッバース・ダフーク氏は「現時点での報復攻撃はイランの対米強硬派を勢いづかせるだけで生産的ではない」とみる。

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