日経商品指数17種

(1970年平均=100)
10月16日 145.226 +0.222

[PR]

商品ニュース

電力先物、取引量拡大が課題 大手電は参加見送り

2019/9/17 23:00
保存
共有
印刷
その他

電力の先物取引が17日、東京商品取引所で始まった。電力先物は卸売市場で電力を調達する際、価格変動による損失拡大リスクを抑える効果がある。普及すれば新電力事業者の経営安定につながるが、初日の売買高は低調だった。利用に距離を置く大手電力の姿勢が変わらないと、先物取引の広がりは限られそうだ。

売買増加には大手電力の参加が不可欠(電力先物の取引状況を映す東商取のモニター、17日)

電力先物は、将来の電力価格を売買する金融取引だ。自前の発電能力を持たないことが一般的な新電力で取引ニーズが高い。各社が卸売市場で電力を仕入れる際、猛暑などで価格が急騰すると販売価格に転嫁できず損失につながりやすかった。

新電力のエナリスは「価格の変動リスクを抑える手段が増えるので、市場の創設はありがたい」と話す。先物市場の利用も検討中だ。

初日の売買高は合計44枚(枚は最小売買単位)にとどまった。電力の売り手として想定される大手電力が参加を見送ったためだ。

上場した4つの商品のうち、最も多かったのは東日本の平日日中の電力を対象とした「東エリア 日中ロード先物」で23枚。2019年9月物の終値は1キロワット時あたり12.55円だった。西日本を対象にした2つの先物は売買が成立しなかった。

日本エネルギー経済研究所の小笠原潤一・研究理事は「燃料価格が上がっても販売価格に転嫁でき、大手電力の参加意欲は限定的だ」と指摘する。業界では「どれだけの取引量になるか見通せない。現状では積極的に取引に参加しようと思わない」(大手電力)と様子見の姿勢が強い。

もっとも大手電力は地域独占が崩れ、販売競争は激しさを増す。東北電力が設立したエネルギー取引会社、東北電力エナジートレーディングの土方薫社長は「発電すれば売れる時代ではなくなりつつある。価格の変動に備えなければならないという意識は広がり始めている」と話す。

電力先物が定着する欧米では価格差によるもうけを狙い金融機関も活発に参加している。「海外金融機関などの参加が増えれば取引の流動性が高まる」(電力中央研究所の服部徹・副研究参事)との声が多い。大手電力のほか、リスクマネーの取り込みが東京商品取引所の課題となる。

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップマーケットトップ

読まれたコラム