ソニー、半導体の分離・上場拒否 米ファンドに回答

ソニーは17日、米ファンドのサード・ポイントが求めていた半導体事業の分離・上場を拒否すると発表した。半導体は今後の成長の中核と位置付け、社内の他事業との相乗効果も大きいと判断した。金融子会社の株式の継続保有も決めた。オリンパス株売却などの要求には一部応えたが、中核事業については譲らない姿勢をサード・ポイントに示した。

17日にソニーの吉田憲一郎社長兼最高経営責任者(CEO)の署名を入れた株主向けの書簡を公開した。サード・ポイントが6月に公開書簡で半導体の分離・上場などを要求して以降、ソニーは外部専門家とともに検討を進めていた。
ソニーの書簡によると、ソニーの取締役会は「全会一致で半導体を保有し続けることが、長期的な企業価値向上に資するとの結論に至った」という。吉田社長は「短期的に(複合企業特有の)コングロマリット・ディスカウントを解消することよりも、長期で価値を作っていくことを優先したい」としている。
ソニーは「他の事業や人材との協業により、今後さらに大きな価値創出が期待できる」と説明。世界トップシェアの画像センサーと人工知能(AI)を組み合わせ、車載向けなどを開拓するという。半導体は「ソニーのテクノロジーの象徴」と位置付け、「長期的な企業価値向上の観点からも、最も重要な技術」とした。
サード・ポイントはソニー株を取得して半導体の分離・上場や、金融子会社株やオリンパス株などの売却を求めていた。ソニーは金融子会社について「現時点においては、株式を保有し、ソニーの企業価値の向上につなげていきたい」としている。一方でオリンパス株を売却し、他の上場企業の保有株についても売却可能性の含みを残した。普通社債1000億円の発行登録もした。
ソニーが半導体分離を拒否する回答を公開したことで、交渉のボールは再びサード・ポイントに移る。同ファンドはソニーの対応について17日、「今日はコメントしない」としている。