イノシシ向け豚コレラワクチン 長野県で3万個散布

2019/9/17 19:30
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長野県は17日、国と協力して野生イノシシ向け豚コレラワクチンの大規模散布を9月下旬から始めると発表した。3万6000個を散布する。県内ではイノシシで豚コレラ感染が相次いでいるほか、14日には県畜産試験場(塩尻市)の豚で感染が確認された。ワクチン散布で感染エリアの拡大を食い止めるとともに、養豚農場での発生を防ぎたい考えだ。

県は畜産試験場で防疫措置を実施した(長野県提供)

県はこれまでに4000個のワクチンを散布していたが、規模と範囲を大幅に拡大する。新潟県に隣接する小谷村から県南部の阿智村まで、帯状に1800カ所の散布エリアを設定。感染が拡大している愛知・岐阜両県や木曽・松本地域から東にウイルスが移動するのを防ぐ。散布期間は1カ月程度を見込む。

県は17日、豚コレラの対策本部会議を開き、養豚農場への支援や野生イノシシ対策の強化を確認した。養豚場の豚へのワクチン接種を実施するよう国に早急に要請する。阿部守一知事は「農家での発生は全力で食い止めなければならない。野生イノシシで陽性反応が出ていない地域でも危機感を持って取り組んでほしい」と述べた。

県は養豚農家へのイノシシ侵入防護柵や消毒装置の設置を急いでいた。しかし、14日に畜産試験場で豚コレラの発生が確認され、事態が急変。同日中に試験場の豚約350頭を殺処分したほか、新たに3農場を「監視対象農場」に指定し、家畜防疫員が出荷時に検査する。

試験場は敷地が広く、人の出入りが多いことから「一般の農場よりもリスクが大きかった」(県農政部)。ただ、試験場の養豚エリアに入る人員を限定し、車両や人が入る際は複数回、消毒を実施していた。さらに小動物の侵入を防ぐフェンスを設置するなど「最大限の対策をしていた」(同)。感染経路は不明で、国の調査チームとともに解明を急いでいる。

試験場では豚の効率生産や畜舎の臭いを落とす研究をしていたが、新品種の開発などはしていなかった。そのため殺処分をしても「研究に遅れが出ることはあっても、途切れることはない」(農政部)としている。

県は畜産試験場での発生を受けて、周辺地域での防疫体制を強化。4カ所の消毒ポイントを期間限定で設置し、車両の消毒などをしている。17日の会議では「消毒用消石灰やブルーシートなど備蓄資材の充実が必要だ」といった意見も出た。

県は豚コレラ対策に力を入れてきたが、畜産試験場の豚で発生し、感染防止へ打つ手が限られることが浮き彫りになった。長野県などは養豚場の豚へのワクチン接種を国に要望しているが、輸出に不利になる可能性があることから国は慎重姿勢だ。ただ、長野県では「豚肉の輸出はあまりない」(県農政部)という。山本智章農政部長は17日の本部会議後、報道陣に対して「全国的にまん延している状況なので、接種を早急に検討してほしい」と述べた。

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