三菱電機、硬い次世代半導体材料を放電スライス加工

BP速報
2019/9/17 12:00
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半導体材料のスライス加工用ワイヤ放電加工機「DS1000」(出所:三菱電機)

半導体材料のスライス加工用ワイヤ放電加工機「DS1000」(出所:三菱電機)

日経クロステック

三菱電機は、加工が難しい次世代半導体材料の炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)を効率よくスライスできる放電加工機「DS1000」を11月1日に発売する。素材に20本のワイヤを近接させて同時に放電を起こし、ウエハーを20枚ずつ切り出せる。ダイヤモンド砥粒などを付着させたワイヤで切断するワイヤソーと比較すると、加工速度を60%向上でき、ランニングコストを80%削減できる。さらに、材料の有効活用率を20%程度改善できるという。

加工部には20本のワイヤを最小600マイクロメートル(マイクロは100万分の1)間隔で並べる。加工点は複数だが、1本の放電ワイヤを周回させて使う仕組み。ワイヤへの給電機構を20カ所にそれぞれ設けた上、新開発の「マルチワイヤ放電制御」により、20カ所で同時に放電を起こす。複数の加工部は相互にワイヤで導通しているものの、1カ所の放電による影響(電圧の低下)が隣接する加工ポイントでの放電を妨げないように、電気的な独立性を高く保てる機器構成にした。

並列加工の仕組み。1本のワイヤを20周させ、加工部にはワイヤ20本が並ぶ(出所:三菱電機)

並列加工の仕組み。1本のワイヤを20周させ、加工部にはワイヤ20本が並ぶ(出所:三菱電機)

従来のワイヤソーでは、SiCやGaNの硬さや脆性により、加工効率を上げるのが難しかった。ワイヤソーはさらに、材料に接触するため加工反力が大きく、ワイヤの位置変動により加工時に除去する溝の幅が広がる。加工面の凹凸や微小な割れも生じるため、ウエハー形状にしたあとの研削加工で一定の削り代を除去する必要がある。放電加工はワイヤが材料に接触しないため、加工溝幅を狭くできて材料の有効活用率を向上でき、加工品位も向上する。

4インチの単結晶SiCを10並列でスライスした例では、ワイヤの直径が0.1ミリメートルでワイヤーの間隔が600マイクロメートル、加工溝幅が最大156マイクロメートルでウエハーの平均板厚は446マイクロメートル、加工時間は10時間だった。ウエハーの厚みのばらつきは14マイクロメートルだった。

4インチ(約10センチメートル)のSiCをスライスした例。ワイヤー(加工溝)のピッチが600マイクロメートル、平均板厚は446マイクロメートル (写真:日経 xTECH)

4インチ(約10センチメートル)のSiCをスライスした例。ワイヤー(加工溝)のピッチが600マイクロメートル、平均板厚は446マイクロメートル (写真:日経 xTECH)

ランニングコストは、ワイヤが単純な金属線で済むため、ダイヤモンド砥粒を必要とするワイヤソーよりも安価になる。装置の価格は9500万円(税抜き)で、年間10台の販売を目標とする。名古屋製作所で製造し、「少なくとも最初は、主に日本国内の顧客に販売する」としている。

(日経 xTECH/日経ものづくり 木崎健太郎)

[日経 xTECH 2019年9月13日掲載]

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