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オルタナティブデータ活用 米国すでに実用段階

米国のオルタナティブデータの活用は、ヘッジファンドなどの投資家がデータについての知識を吸収する初期の段階は通り過ぎた。中小から大手まで、ほとんどのファンドがデータの必要性を認識していることを大前提に、いかにそれを取り入れどう投資運用に生かすかという「実用化後」の段階に入った。

「そのデータを使って株式銘柄の空売りをするのはちょっと待って」。オルタナデータの専門家でヘッジファンドなどにコンサルタント業務を手がけるシステム2創業者のマテイ・ザトレイヌ氏は、あるヘッジファンドの幹部に警告した。山ほど出回るオルタナデータから自分たちの投資運用に適したものを選ぶ上で、そのデータが本物かを吟味するのが重要だ。それには「オールドファッション」(同氏)の調査分析も必要という。

例えば1つのデータが、ある小売りチェーンの顧客の急減を示したとする。その会社の業績悪化の証拠ととらえて空売りする前に、ザトレイヌ氏は会社の従業員何人かに電話をかけて、会社で解雇が増えているかどうかを確認するという。

運用資産総額が約300億ドル、従業員数が1000人を超えるニューヨークのヘッジファンド運用大手はデータ担当者を100人近く採用した。統計学の専門家やデータサイエンティスト、データを実際に投資に結びつけるための技術的なインフラを整備するIT担当者などで構成する。

データ要員の規模はファンドの運用資産総額に比例するとは限らない。運用資産50億ドル程度の破綻証券に投資するファンドが初めて雇ったデータ担当者はポートフォリオ分析も兼務する必要があり、理想的体制にはほど遠い状況という。

こうした会社を対象にデータの選別から投資分析に結びつけるまでの工程を担うビジネスも拡大している。また、データを利用した投資運用の際のコンプライアンス(法令順守)の必要性も高まり、データ専門の弁護士を配備する大手法律事務所も増えている。

データの種類は急拡大している。旅行予約サイトから航空会社やホテルの業績を予測したり、中央銀行の金融政策声明文や記者会見の文言から市場の反応を予想したりするなど、投資関係者にはすっかりなじみ。

最近では組み合わせの妙も注目されている。例えばクレジットカードの使用状況とヘルスケアの記録を組み合わせ、ファストフードの消費量と肥満の人がどの地域に集中しているかを分析して、プラスサイズの衣料品チェーンの店舗戦略に利用するといった方法だ。

データの精査、その適用にますます高度な技術やコンプライアンスが必要になるだけに、データ利用の各社がどうインフラを整備するかが、オルタナデータを十分に活用するカギといえるだろう。(ニューヨーク=伴百江)

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10月7日にオルタナティブデータ活用に向けたイベント開催
 日本経済新聞社はオルタナティブデータを活用するためのイベント「日経オルタナティブデータ カンファレンス Autumn 2019」を10月7日に都内で開催する。
 前半は海外での活用事例やデータを活用する際の法的課題に関し講演会を実施する。
 後半のパネルディスカッションでは、今年、金融庁の総合政策局長を勇退した佐々木清隆氏や経済データ分析のナウキャストの赤井厚雄会長、スマートフォン決済のメルペイの青柳直樹社長が登壇。「オルタナティブデータ活用の近未来」をテーマに議論を進める。
日時・会場 10月7日(月)午後1時~午後6時、大手町プレイスカンファレンスセンター(東京・千代田)、定員250人で入場無料。
詳細・申し込み https://go.nkbb.jp/alternativedata_autumn2019から。

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