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中東緊迫、NY原油15%高 需給先行きに不透明感

2019/9/17 5:35
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黒煙の上がったサウジアラムコの石油施設(14日)=ロイター

黒煙の上がったサウジアラムコの石油施設(14日)=ロイター

【ニューヨーク=後藤達也】サウジアラビアへの石油施設の攻撃で、原油の需給への先行き不透明感が強まってきた。サウジの原油生産が半減する一方、米国は景気への打撃を避けるため、戦略石油備蓄を放出する構えをとった。市場は攻撃の再発などを警戒しており、ニューヨーク市場の原油価格は16日に15%高となった。

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ニューヨーク市場の原油先物(期近物)は1バレル62.90ドルと先週末比8.05ドル(15%)上昇した。上昇率は2008年12月以来の大きさだ。北海ブレントは一時1バレル71.95ドルと19%上昇した。ともに4カ月ぶりの高値を付けた。

世界景気への不安から金や国債などの安全資産が買われた。ニューヨーク市場の金先物12月物は1トロイオンス1511.5ドルと先週末より12ドル上昇。米10年物国債利回りは1.83%と同0.06%低下(価格は上昇)した。ダウ工業株30種平均の終値は142ドル安の2万7076ドルだった。

原油市場の焦点は需給の行方だ。サウジの国営石油会社サウジアラムコが受けた被害は日量で570万バレル。世界最大級の産油国であるサウジの生産能力の約半分にあたる。

米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は15日、サウジは570万バレルの約3分の1を16日までに復旧させる方針だと報じた。一方、ロイター通信は16日、関係者の話として全面復旧まで「数カ月かかる可能性がある」と報じている。サウジアラムコは日本時間17日午前4時時点で進捗状況を明らかにしておらず、復旧にかかる期間は不透明だ。

トランプ大統領は市場の不安を鎮めるため、いち早く動いた。原油市場が開く直前の米時間15日午後、ツイッターで「必要に応じ、戦略石油備蓄を放出することを承認した」と表明した。備蓄在庫は13日時点で6億4480万バレルと、サウジの生産被害の100日分以上にあたる。BCAリサーチは「欧州連合(EU)も90日分の消費に対応できる戦略備蓄がある」とみる。

備蓄の放出などで極端な需給逼迫は回避できそうだが、市場がむしろ懸念するのは中東情勢の一段の緊迫化だ。イエメンの親イラン武装勢力フーシが犯行声明を出しているが、米国はイランの直接的な関与を疑う。トランプ大統領は「我々は犯人を知っており、検証結果によっては臨戦態勢をとる」とツイッターで述べた。

仮にイランへの報復が強まれば、石油施設への攻撃の再発やホルムズ海峡の封鎖といった可能性も排除できない。RBCキャピタル・マーケッツのマイケル・トラン氏は「サウジの生産が短期間で正常化しても、大規模な原油供給停止が十分に起こりうる」と話す。

その場合、需給の逼迫が長期化するおそれが出てくる。国際エネルギー機関(IEA)によると、石油輸出国機構(OPEC)の余剰生産能力(約320万バレル)のうち約7割をサウジが占める。その産油大国で、無人機の攻撃に対するもろさが露呈した。

16日の原油価格の値上がりは歴史的な大きさで、売買高も急増した。それだけサウジ攻撃の衝撃が多かったことを物語る。中東の緊迫が収束に向かわなければ、原油高を通じて世界経済の減速懸念を強めるリスクも高まってくる。

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