NY原油は一時15%高 トランプ氏「備蓄の放出承認」
【ニューヨーク=後藤達也】原油価格が急上昇している。15日(日本時間16日早朝)のニューヨーク市場では原油先物10月物の価格は1バレル63ドル台前半と先週末の終値より15%あまり上昇した。サウジアラビアの石油施設への攻撃で、原油供給や地政学リスクへの懸念が高まった。米ダウ工業株30種平均の先物価格も100ドルあまり下落して始まった。
トランプ米大統領は15日、原油価格への影響を踏まえ、「必要なら戦略石油備蓄を放出することを承認した」とツイッターに投稿した。
原油先物価格(期近物)がニューヨーク市場で63ドル台を付けるのは約4カ月ぶり。1日の原油価格の上昇幅としては今年最大だ。ダウ平均の先物は一時、先週末より100ドル強安い2万7100ドル弱に下落した。景気の減速懸念が広がる中で物価が上昇するリスクが意識されている。
14日、サウジの国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所が無人機の攻撃を受けた。イエメンの親イラン武装組織フーシが犯行声明を出した。
アブドルアジズ・エネルギー相は14日、攻撃により1日の生産が1日570万バレル減ったと述べた。サウジの生産量のおよそ半分にあたる。米報道によると、サウジアラムコは16日までに生産停止したうちの約3分の1の回復を見込む。生産量が元に戻るには数週間かかるとの報道もある。